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蚊取り線香はなぜ渦巻き?妻の名アイデアとは・・・?

夏の夕方、どこからか漂ってくる蚊取り線香の匂い。私はあの香りをかぐと、いっきに子どもの頃の縁側を思い出します。ところで、あの独特の「渦巻き」の形。あれって、なぜあの形なんだろうと考えたことはありますか。実はそこには、一組の夫婦の知恵と、ミカン農家の壮大な物語が隠れていたんです。今日はその意外な誕生秘話を、たっぷりお話ししますね。


最初は「棒状」だった蚊取り線香



意外かもしれませんが、蚊取り線香は最初から渦巻きだったわけではありません。生まれたときは、仏壇に供えるお線香のような「棒状」だったんです。

発明したのは、和歌山の上山英一郎(うえやまえいいちろう)という人物。明治23年(1890年)、虫を遠ざける成分を持つ「除虫菊(じょちゅうぎく)」という菊の粉に、みかんの皮の粉などを混ぜて、棒状の線香に仕上げました。これが世界初の蚊取り線香とされています。

ただ、この棒状タイプには弱点がありました。長さが20センチほどしかなく、燃え尽きるまでの時間が40分ほどしかなかったんです。これでは、ひと晩ぐっすり眠るには心もとないですよね。

▼ 出典
・蚊取り線香の発明(上山英一郎)(国立公文書館)
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/hatsumei/contents/42.html
・蚊取り線香(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/蚊取り線香

渦巻きを生んだのは、妻のひらめき



この「燃焼時間が短い」という悩みを解決したのが、なんと英一郎の妻・ゆきさんでした。

伝わっている逸話によれば、ゆきさんは庭で蛇がとぐろを巻いている姿を見て、「あの形なら、線香を長く伸ばせるのでは?」とひらめいたといわれています。まっすぐな棒では場所をとってしまう線香も、ぐるぐると渦に巻けば、長い線香をコンパクトに収められる。発想の転換ですよね。

私はこのエピソードがとても好きなんです。日常のなかの何気ない観察から、世界中で使われる大発明が生まれた。しかもそれを生んだのが、発明家本人ではなく、その妻だったというのが、なんとも粋な話だと思いませんか。

▼ 出典
・当初は棒状だった!?蚊取り線香が渦巻型になったワケとは(マイナビニュース)
https://news.mynavi.jp/kikaku/20230626-kincho/
・渦は右巻き・左巻き?蚊取り線香の「渦巻き」にまつわる進化の歴史(tenki.jp
https://tenki.jp/suppl/marinahishinuma/2018/08/09/28329.html

なぜ渦巻きは画期的だったのか



渦巻きの形には、ちゃんとした実用的なメリットがありました。

ひとつは、燃焼時間が一気に伸びたこと。線香をぐるりと長く巻くことで、棒状の40分から、ひと晩もつ長さへと進化しました。これで寝ている間ずっと蚊を寄せつけにくくなったんです。もうひとつは、安全性。棒状だと倒れて火事の心配がありますが、渦巻きを平らに寝かせて置けば倒れにくい。長さと安全、その両方を一度に解決したのが、この渦巻きという形だったんですね。

こうして明治28年(1895年)、渦巻き型の蚊取り線香が誕生しました。英一郎とゆきさん、夫婦の絶妙なチームワークの結晶だったわけです。

なお、よく「渦は右巻き?左巻き?」という話題になりますが、これは製品や置き方によって見え方が変わるもので、絶対的な決まりがあるわけではないようです。今度お使いのときに、そっと確かめてみるのも楽しいですよ。

▼ 出典
・なぜ渦巻きなの? 蚊取り線香の5つの秘密(ウェザーニュース)
https://weathernews.jp/s/topics/202107/160215/

すべては一人のミカン農家から始まった?



最後に、発明者・上山英一郎その人の話を少しだけ。彼はもともと、みかんなどを海外へ輸出しようとしていた農家の人でした。その縁で海外から除虫菊の種を譲り受けたことが、すべての始まりだったといわれています。

平安時代から、人々は草木を燻して虫を遠ざける「蚊やり火」という風習を持っていました。英一郎はその知恵に、除虫菊という新しい素材を掛け合わせ、さらに妻の発想で形を完成させた。古くからの暮らしの知恵と、一組の夫婦の工夫が重なって、あの夏の風物詩は生まれたんですね。何気なく使っている道具の裏に、こんな物語があるなんて、私はちょっと感動してしまいました。

▼ 出典
・蚊取り線香が「渦巻き型」になった理由を説明できるか(PRESIDENT Online)
https://president.jp/articles/-/56086

今日のまとめ



1. 蚊取り線香は最初「棒状」で、燃焼時間は40分ほどしかなかった。
2. 渦巻きを生んだのは、発明者の妻・ゆき。蛇のとぐろからのひらめきと伝わる。
3. 渦巻きは「長く燃える×倒れず安全」を両立した名発明だった。

このブログでは、暮らしのそばにある日本の文化を、その由来までゆっくり深掘りしていきます。次回は「打ち水はなぜ涼しい?」を予定しています。気になった方はフォローしておいてくださいね。

編集後記:当たり前に使っているものほど、由来を知るとちょっと愛おしくなりますよね。今年の夏は、蚊取り線香に火をつけるたび、あの夫婦のことを思い出してしまいそうです。

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