「紺ブレ」は禁止、ウグイス色はOK? バブルが生んだ「やっこだこ営業マン」の悲劇。
「トミセンス! スーツの上と下の色が違うぞ!」
出社早々、上司の怒声が響きました。その日の私は、当時流行り始めていた紺のブレザー(懐かしの紺ブレ)にグレーのスラックスという出で立ち。
「……えっ、これ、ダメなんですか?」 「当たり前だろう! スーツは上下同じ色が基本。今すぐ着替えてこい!」
ビジネスカジュアル全盛の現代では考えられないほど、当時のドレスコードは厳格だったのです。
一方、世の中はバブル全盛期。 アパレル界は「DCブランド」が席巻していました。私も多分に漏れずその波に乗り、肩パットがばっちり入ったウグイス色の、ガーゼ生地の『コムサデモード』のスーツで田舎の町を闊歩していました。
しかし、冷静に振り返れば、その姿はどう見ても奇抜な色の「やっこだこ」。 そんな勘違いファッションで現場に出向くのですから、悲劇は避けられません。
そこそこ高価な勝負スーツだったにもかかわらず、現場の金物に引っかけてビリっと破けるのは日常茶飯事。ペンキ塗りたての材料にうっかり触れてしまい、取り返しのつかない汚れが付くこともしばしば。 「営業の武器」として購入したはずの高級スーツたちは、現場の過酷な現実を前に、あまりにも短い寿命を終えていくのでした。
