トサカ前髪、ブランドバッグ、お茶出しの記憶。僕たちの「失われた30年」について。
学生から新入社員になると、それまでとは「憧れの女性像」もガラリと変わるもので、わたしもすっかり年上の大人の女性に憧れを抱くようになりました。
当時、営業所にいた先輩女性たちを思い出すと、まるで当時のトレンディドラマをそのまま詰め込んだような、華やかな博覧会のようなイメージです。
清潔感のある制服姿(ベストにリボン、少しタイトなスカート)
ワンレングス(ワンレン)か、華やかなソバージュヘア
VO5でトサカのように高く立ち上げた前髪
キリリとした太い黒眉毛に、鮮やかな赤いリップ
休憩室で、隠れて吸うメンソールのタバコ
OLのステータスだった、ちょっと高級なブランドバッグ

イメージとしては、当時の資生堂のCMに出演されていた今井美樹さんのような雰囲気です。
真っ赤な口紅をつけて、口角の上がった大きな笑顔を見せる姿が本当に印象的でした。
当時はまだ営業所に総合職の女性はおらず、お客様からの注文を電話で受ける一般職としての採用が主でした。
彼女たちの仕事はそれだけでなく、コピー取りや、毎朝の「お茶出し」などもやっていただいていました。
中には「わしはコーヒー、ブラックな」などと、彼女たちを自分の私設秘書か何かと勘違いしている、わがままなおじさん連中もいたものです。
それでも、営業所に配属されて初めて、先輩の女性にお茶を出してもらったときのあの何とも言えない嬉しさは、今でも鮮明に記憶に残っています。
しかし今になって冷静に振り返ると、彼女たちの中には本当に優秀な頭脳を持った方がたくさんいました。
それなのに、当時の会社組織や社会は、彼女たちの能力を全く活かそうとしていなかったのです。
日本が経験した「失われた30年」の本質は、こうした優秀な女性たちの能力を社会が解放してこなかったことにも、大きな要因の1つがあるのではないか。
古い営業所の風景を思い出すたび、そんなことを強く感じてしまいます。
