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深夜残業のモビルスーツ哀歌。シャアになれなかった僕たちの生存戦略

わたし、トミセンスはどっぷりと「ガンダム世代」である。
仕事でも、仕事をガンダムに例えて話をすることも多かった。

「どうせ俺たちは量産型の『ジム』だよな。代わりなんていくらでもいるってことよ」
(※ジム=ガンダムのデータを元に作られた大量生産型の廉価版機体)
先輩が自嘲気味に呟く。

トミセンス「じゃあ、本物の『ガンダム』はどこにいるんですか?」
先輩「そりゃお前、本社の経営企画室とかエリート部署だろ」
トミセンス「やっぱり、あそこにいる人たちは『ニュータイプ』なんですかね」
先輩「さあな。ただ、確かに変わってはいるぞ。俺の知っているのは、ワイシャツの下に24時間テレビの黄色いTシャツを着てるような奴だからな」

そんなオタク全開の会話をしていると、デスクの向こうから課長が割って入ってきた。

「お前ら、まだ『地球連邦軍』だからいいじゃないか」
「俺たち中間管理職なんて、ジオン軍の『ザク』よ。アニメの中でも一番無慈悲に破壊されてただろ?」

確かに画面の中で爆破された回数はジムよりザクの方が圧倒的に多かった。
中間管理職の悲哀が、ザクの緑色のボディに重なって見える。

「トミセンス、お前はセンスもガッツもあるんだから、量産型で終わらずに『シャア』を目指せよ」
(※シャア・アズナブル=赤い彗星と呼ばれる天才エースパイロット)

「課長、わたしはシャアが大好きでした! 会社でもあんな圧倒的な戦い方がしたいです!」

深夜の残業オフィスで、私たちはそんな熱い会話を繰り広げていた。
今となっては「とっとと仕事を終わらせて帰れよ」と思うのだが、
当時はそのカオスな時間が、過酷な労働を乗り切るための精神安定剤だったのだ。

その後、トミセンスは、シャアのような天才になることはなく、ジムのまま、地道に泥臭くサラリーマン生活を続けることになる。

ただし、私生活において一瞬だけ、真っ赤なボディカラーの自家用車を購入し、街の中で「赤い彗星」となったのでした。


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