O工場の奇跡!喧嘩から始まった営業マンたちの寝袋団結
わたしの会社の30代の営業マンの95%は、「寝袋」を持っている。
それは、ある7月1日に決行された、大規模な工場移設プロジェクトから始まった。
出荷の最盛期であったため、営業サイドからは懸念の声も上がった。
しかし、老朽化による生産性低下を解決するため、プロジェクトは強行された。
A工場の生産ラインをC工場へ移設するというものだ。
案の定、システムが追いつかず、部材のピックアップができない状態となり、商品が出荷不能となった。
これを解決するには、もはや人海戦術しかない。 全国から体力自慢の営業マンが集められた。
最初は悲惨だった。
皆、自分の営業所の受注分を何とか出荷しようと必死で、部材を奪い合う殴り合いの喧嘩が始まった。
「これは俺たちの物だ」
「いや、俺が先に見つけた」
「コノヤロー」
「バカヤロー」
さながら、不良高校正の喧嘩のような状況であった。
ヘトヘトになって1日が終わった。
24時間体制での作業と聞いていた営業マンは、各自寝袋を購入して現地へ乗り込んでいた。
大きな体育館に、寝袋が100個並んだ光景は圧巻だった。
みんな寝袋に入ったまま、顔だけ出してウイスキーを煽った。
「昼間は悪かったな」
そんな言葉が至る所から聞こえてくる。彼らは自分の営業所の手柄を考えていたのではない。
日頃からご愛顧いただいているお客様に迷惑をかけたくない、その一心だったのだ。
翌日からの営業マンの働きは、前日とは全く違うものだった。
作業は驚くほど捗り、その日の内には正常出荷ができるようになった。
この出来事は「O工場の軌跡」として、後々まで語り継がれている。
当時のメンバーと飲みに行くと、今でも熱い想いがこみ上げる。
ただ、会社は同じことを繰り返す。
この1年後、雪の重みで倉庫がつぶれ、商品の出荷ができなくなった。
ここでも喧嘩→仲直り→団結心芽生える、同じサイクルで回る。
よもや、会社が仕組んでいるのか疑うレベルだ。
