ノルマに追われた営業マンたちが夜の公園でブランコを漕ぎ続けた結果
トミセンスが所属していた営業所の近くには、小さな公園があった。
小さな子どもが遊べるような滑り台・鉄棒・ブランコが設置されており、日中は多くの親子連れが集まってとても賑やかだった。
だが夜になると一転、照明設備もないため、誰も寄り付かない暗闇となった。
いつの頃からだろうか。月末になると、売上に伸び悩む営業マンが気分転換にこの公園へ立ち寄り、ブランコを漕ぐようになったのだ。
かく言うトミセンスも、何十年ぶりかにブランコに揺られてみた。
身体が宙に投げ出される瞬間に感じる解放感。
日々の悩みを遠心力で吹き飛ばすかのように、高く遠くへと漕ぎ進める快感。
こうして一人、二人と「ブランコ愛好家」が増えていき、月末の夜には順番待ちまで発生するようになった。
中には待ち時間に鉄棒で懸垂をしたり、ベンチで腹筋を始めたりと、まるでゴールドジムにでも来ているかのような錯覚を起こすほどであった。
当事者である自分たちでさえ「少し異様な雰囲気だな」と感じ始めていた頃、案の定、近隣住民から苦情が入ってしまった。
「夜中にギコギコとブランコの音がしてうるさい」
そしてついに、掲示板に「夜間使用禁止」の張り紙が貼られたのだった。
こうして営業マンたちは、再び煩悩を溜め込む日常へと戻っていったのである。
