節電、チームワーク、そして孤独な水やり、ゴーヤに捧げた私のお盆休み。
東日本大震災の直後、日本全国で「節電」の意識が高まった。
わたしの営業所でも、エアコンの設定温度を上げたり、トイレのジェットタオルの電源を抜いたりしていた。
当時、トミセンスは、節電をしながらチームワークを醸成し、会社のイメージアップにもつながるアイデアを思いついた。
営業所の道路に面した壁には大きな窓があった。
そこにゴーヤで「緑のカーテン」を作ろうという試みだ。
ネットを張り、苗をみんなで植えた。
最初のうちは、皆が面白がって我先にと水やりをしていた。
その甲斐あって、2か月後には遠目から見ても立派な緑のカーテンができあがった。
それを見ながら、私は「我ながら良い仕事をしたな」と感無量だった。
しかし、あまりに立派すぎて光を遮断してしまい、「事務所の中が暗い」というクレームが発生した。
さらに「虫が大量に発生して窓が開けられない」と女性陣からも不満が漏れた。
そして迎えたお盆休み。今度は、長期休暇の間に誰が水やりをするかで営業所内が揉め始めた。
結局、言い出しっぺの私が盆休みの間どこにも行かず、朝晩の水やりをワンマンで引き受けることで、その場を収めることになった。
だが、本当の悲劇は休み明けに待っていた。
休みが明けると、もう誰も水やりをしようとはしなかった。
主を失った緑のカーテンは見る影もなく茶色く枯れ果て、そこには熟しすぎて真っ赤になったゴーヤがぽつりと垂れ下がる、寂しい景色だけが残されていた。
