ビジネスの潤滑油か、それとも泥沼か。伝説の「カート横転」ゴルフ接待。
ゴルフで数々の失敗を重ねる中で、私は一つの確信に至りました。 それは、「丸一日一緒にラウンドすれば、どんな相手とも物凄く親密になれる」ということです。
共通の話題に困れば、過去の珍プレーの話で盛り上がり、これから行きたい憧れのコースに夢を馳せる。
ゴルフはまさに、ビジネスにおける最強の「潤滑油」でした。
父親から譲り受けた古めかしいパーシモンのウッドを捨て、ようやく手に入れた最新のメタルウッド。その澄んだ打球音に酔いしれ、
「これでようやく引け目を感じずにプレーできる」と胸を張りました。
かつて、最初のラウンドにジーパンを履いて行って大恥をかいた「あの頃の私」は、もうどこにもいません。
しかし、ゴルフ場には魔物が住んでいました。 まともにプレーが進むようになった私に、その日、初めて「カートの運転」という大役が託されたのです。
お客様から「まあ、ゴーカートみたいなものだから、グイグイ行こうぜ!」と煽られた私は、意気揚々とアクセルを踏み込みました。 急な上り坂を勢いよく登り切り、そのまま下り坂へと突入した瞬間、目の前に鋭いヘアピンカーブが姿を現しました。
「しまった、曲がりきれない……!」
ブレーキを必死に踏み込みながら、私は咄嗟に「自分の足」を地面に突き出し、力技でカートがコースアウトするのを食い止めようとしました。 同乗しているお客様たちの凍りつくような緊張が、背中越しに痛いほど伝わってきます。
しかし、そんな「必死のパッチ」も虚しく、カートは無残に横転。 宙を舞う高級なゴルフクラブセット。そして私たちは、前日の雨でたっぷりと水分を含んだ「ぬかるんだ湿地帯」へと、全員揃ってダイブしてしまいました。
幸いにも大きな怪我人はいませんでしたが、ウエアも自慢の道具も、見る影もなく泥まみれ。 その後、何とか気力でラウンドを終え、泥人形のようになった4人がクラブハウスへと帰還した際、周囲からどのような好奇の目にさらされたかは、言うまでもありません。
その後、この話を「楽しかった事として」話題に出すと、
「トミセンス、あれは無いぜ」
「あの後、3人で傷ついたクラブが保険で直らないかとか、真剣に話し合ったんだぜ」
「そうだったんですか・・・・」
ゴーカートと同じと言われたものの、ゴーカートは山道を走らないよな。
今は、超安全運転でハンドルを握っています。
