水と油の覇権争い。勝利した2課長が見せた、底なしの冷徹さ
私のいた営業所には、柱となる2つの課があった。
1課と2課、担当ルートは違っても、その存在感は圧倒的だった。
課員同士は、飲み会やスキーへと、まるで兄弟のように仲が良かった。
しかし、課長同士は、本当に、仲が悪かった。
仲が悪いというより、血を吐くようなライバル関係だった。
ちょうど所長が転勤の時期に重なり、次期所長の座を巡る、一騎打ちと見られていたのだ。
横から見ていても、性格は水と油。
大酒飲みの体育会系・1課長に対し、2課長は下戸で文学少年のような風貌。部下への接し方も、厳しさと優しさで見事に分かれていた。
だが、唯一共通していた点があった。
無類の、女好きということだ。
そして、その共通の弱点が、1課長に牙を剥いた。
失敗の内容は、あろうことか部下の社内彼女に手を出すという、前代未聞のスキャンダル。
1課長は、営業所を去らねばならなかった。
去る日の早朝、営業所で、2人の課長が握手をしているのを、私は偶然見かけた。 宿敵であっても、最後は潔い。
そう、私は思ったのだ。
1課の消滅が正式に決まった。
朝礼で、勝利した2課長が、その言葉を口にした。
「これが本当の、一課離散やな」一家離散とかけた、その悪魔のような冷徹な一言。
潔い握手など、最初から存在しなかったのだ。
彼の底なしの腹黒さに、私は、ただただ震えるしかなかった。
