漁火(いさりび)に焼かれ、イカを嫌った夜
トミセンスはサラリーマンの心得として、これまでお客様の趣味にとことん付き合ってきました。
その中で、もっとも過酷だったのが「釣り」です。
まずは、冬場のワカサギ釣り。
真冬に凍った湖の上で、アイスドリルを使って穴を開け、釣り糸を垂らします。
餌は、紅色に着色された「紅サシ」です。
上手く当たれば入れ食い状態になります。
釣れること自体は嬉しいのですが、どうしても針を上手く外せません。ワカサギの透き通った体の中に、飲み込まれた紅サシが透けて見えるのを見るのが、本当に苦痛でした。
(釣り好きの方には怒られてしまいそうですが)
湖の上ならまだ逃げ場があるから良いのですが、本当に辛かったのは「イカ釣り」でした。
夜中に出航して、わずか3分で船酔い。
吐くだけ吐いてグロッキーになり、船上に横たわりました。
しばらくして気がつくと、体の右半分が焼けるように熱いのです。
なんと、夜の海を煌々と照らす「漁火(集魚灯)」の熱で、ひどい火傷を負っていました。
電球の熱で火傷をするなんて、人生初の体験です。

しかも、どれほど帰りたくても、全体の工程が終わるまでは個人の都合で陸に戻ることはできません。
この強烈な経験から、私はイカがすっかり嫌いになってしまいました。
そして極めつけは、鮭釣りです。
一部の悪質な釣り人が、メスの鮭だけを狙って釣り上げ、お腹の筋子だけをくり抜いて身を捨てている光景を目にしました。
それを見た瞬間、「もう釣りは退散しよう」と心に決めたのです。
振り返ってみても、釣りにはひとつも良い思い出がありません。
そもそも、仕掛けを垂らしてじっくりと獲物を待つという行為自体が、私の性分には合っていなかったのかもしれません。
