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現代の世話焼き人トミセンス〜愛を勝たせて売上を3倍にした男〜(後編)


(※ぜひ、前編の「合コンプロデュース編」もあわせてご覧ください)

めでたく婚約を果たした二人の次なるビッグイベント、それは「結婚式」だ。

人と人との縁を繋いできた私、トミセンスは、彼らにとって非常に深い間柄(いわばキューピッド)となっていた。
そのため、出席者の選定から、余興のプロモーションに至るまで、様々な相談を受けるようになった。

特に力を入れたのが「集団ダンス系」の余興プロデュースだ。
時代に合わせて『マツケンサンバ』から『モーニング娘。』『BTS』、さらには『坂道グループ』、時には『ガッチャマン』や『アンパンマン』といったアニメ系まで、あらゆるジャンルを手がけた。人集め、衣装の調達、選曲、果ては振り付けの指導まで。我ながら、この時に圧倒的なプロデュース力が身についたと思う。

何より嬉しかったのは、孫の結婚式に出席したおじいちゃんやおばあちゃんが、涙を流して笑ってくれたことだ。
「今まで生きてきて、こんなに楽しい日が来るとは思わなかった」 そんな言葉をもらうたび、最高の賞賛をいただいたと胸が熱くなった。

余興を楽しみに結婚式に参加してくれる人が増え、親族も会社関係者も、全員が「ひとつの家族」になっていく。その一体感に、私は言い知れぬ快感を覚えていた。

繋がりが生んだ、自然な売上

そして、結婚の先にあるのは「出産」だ。
子どもが誕生したとなれば、今度はベビーカー、チャイルドシート、絵本、玩具類が必要になる。
私はその中心に立ち、代理店や顧客の間で「誰が何を必要としているか」の需要をコントロールしながら、ベビー用品を循環させるハブの役割を担った。

こんなことまでやっていたのだ。泥臭い営業活動などせずとも、売上は自然と、そして爆発的に上がっていった。

しかし、別れの時は突然やってくる。 他営業所への異動の辞令。
私の送別会には、仕事の関係者だけでなく、その「家族」までもが集まってくれ、盛大な大送別会を開いてくれた。
大袈裟ではなく、「生きていて良かった」と心から思える瞬間だった。

残された営業所と、JTCの限界

翌年。
当然ながら私はもう、その営業所にはいない。
着任したばかりの新担当者が、私と同じように他人の結婚式をプロデュースしたり、ベビー用品を回したりできるはずもなかった。
結果として、営業所の売上は下降していった。

ある日、数字の落ち込みを見た所長が、新担当者の若手を激しく叱責したという。 「おい、なぜこんなに売上が下がるんだ! 原因は何だ!?」

詰め寄られた若手営業マンは、真面目な顔でこう答えたそうだ。

「トミセンス先輩に比べて、私には『愛』が足らないからだと思います」


この体験は、個人的な人生観においては間違いなく大きなプラスになっている。
しかし、一歩引いて「組織」として見たとき、これは大きな問題をはらんでいる。 日本の古い伝統的企業(JTC)において、私のようなスタイルは「システムではなく個人に売上が付いてきてしまう」という致命的な弱点を生む。私が異動すれば、その売上ごといなくなってしまうのだ。

個人の熱量や「愛」に依存し、それを組織の仕組みとして再現・継承できない構造。それこそが、伝統的日本企業の成長を阻害する「死角」なのかもしれない。

まあ、それでも私は、あの「愛」に満ちた泥臭い日々を、どうしても嫌いにはなれないのだけれど。

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