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「ピーヒャラ」は絶望のゴング。独身寮の日曜夕方と、僕らの“まる子ちゃん症候群”

日曜日の18時30分、サザエさんが始まると明日からの仕事に憂鬱になる現象を「サザエさん症候群」と呼びますが、わたしにとっては、その30分前が本当の地獄でした。
18時に「ちびまる子ちゃん」が始まり、あの「〽ピーヒャラ、ピーヒャラ」という陽気なオープニング曲が聞こえると気持ちが落ち込んでいました。

まる子ちゃんには、何の罪もありません。
友蔵さんも、ひろしさんも、すみれさんも、誰も悪くないのです。
ただ、学生時代にはあんなに楽しく笑って見ていたはずのアニメが、社会人になった途端、「休日の終わり」を告げる恐怖のシグナルへと変わってしまったことが、何より怖かったのです。

このアニメが終わる頃になると、きまって独身寮の先輩から「おいトミセンス、飯行くぞ」と声がかかります。

行き先のメニューは、いつも定番の3つ。

  • 一番近所にある、いつもの中華屋さん

  • 駅前の、とんかつ屋さん

  • 駅前の、お蕎麦屋さん

このどれかの店に、そのとき寮に残っている人間で繰り出すのが日課でした。
当時、彼女のいるリア充な先輩がこの集まりに参加することは滅多にありません。
必然的に、現場は「非モテ系」の男たちによる、むさ苦しい集まりとなるのです。

これが週末の楽しい憂さ晴らしなら救いがあるのですが、タイミングは「明日から仕事」という最悪の夜。
お酒が入るにつれて、心の奥底に封印していたはずの「明日からの不安」が、この飲み会でじわじわとクローズアップされ、生々しく蘇ってきます。 (やばい、あのクレームどうしよう)
(あの納期、絶対に間に合わないぞ) ビールを飲みながら、心の中で冷や汗をかいていました。

あれから、長い時が流れました。
先日、本当に久しぶりに「ちびまる子ちゃん」を観る機会がありました。
すると、何ということでしょうか。
あの頃あんなにわたしを苦しめた「胃の痛くなるような絶望感」が、全く湧いてこないのです。

「ああ、あの頃のモーレツな時代は終わったんだな。会社も、自分も変わったんだ」と、しみじみと感じた瞬間でした。

ただ、一つだけ寂しいことがあります。
当時お馴染みだった声優の方々が亡くなられ、新しくなった声を聴くと、どうしてもわたしの知っている「あの頃のちびまる子ちゃん」とは少し違う感じがしてしまうのです。

あのイントロに震え、先輩たちと泥臭い夜を過ごしたあの日々は、もう完全に過去のものになったのだと、少しの哀愁と共にテレビを見つめていました。





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