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今度は、私が迎える番【島小③#19】/離島の小学校編Season3 19

前回は、4年生2人を引率して全国育樹祭に参加しました。
2004年秋。
大きな行事を終え、島には少し穏やかな時間が戻ってきます。
その年の文化の日は、週の真ん中にある1日だけの祝日でした。
いつものように本土へ帰るのではなく、今度は私が島で家族を迎えることにしました。
あの日、港で眺めた夕暮れの景色は、20年以上たった今でも、私の人生の中で忘れられない風景の一つになっています。


1.今度は私が迎える番

10月最後の日曜日、本土から島へ戻る前に実家へ立ち寄りました。
明後日の昼、両親が島へ来る約束をしていたからです。

父は昔から釣りが大好きでした。
せっかく離島で勤務しているのだから、一度はこの島へ呼んで、一緒に釣りをしてみたい。
そんな思いが以前からありました。

文化の日は本来なら本土の自宅へ帰るところですが、週の真ん中の1日だけの休みです。
今回は私が島へ残り、両親や家族を迎えることにしました。


2.島で迎えた夕暮れ

11月2日。
昼休みになると、2便の連絡船が港へ入ってきました。
両親を迎えに行き、旅館へ荷物を運びます。

一息つく間もなく、父は釣り道具を手に港へ向かいました。
「せっかく来たんだからな。」
そんな声が聞こえてきそうな足取りでした。
一方、母は
「少し島を歩いてくるわ。」
と言って、ゆっくり島内を散歩していたようです。

父は昔、この島の周辺へ渡船で渡り、磯釣りをしたこともあるそうです。
久しぶりの島を懐かしむように港で竿を出していました。

夕方になると、3便でやって来る家族を迎える時間が近づいてきました。
私はひと足先に父の様子を見に釣り場へ向かいます。
ちょうど夕日が海を赤く染め始める頃で、その美しい景色を写真に収めました。

しばらくすると、子どもたちを乗せた3便が港へ到着します。
港まで迎えに行ったあと、今度は孫たちを連れて父の待つ釣り場へ向かいました。

子どもたちも竿を持つと、ほどなくアジが6匹ほど釣れました。
港には笑い声が響き、いつもの島とは少し違う、にぎやかな夕暮れになりました。

夜は旅館で、みんなそろって夕食をいただきました。
運ばれてきた料理を見て、子どもたちは思わず
「えっ、これ全部食べていいの?」
と目を丸くします。

1人に1匹ずつの伊勢エビをはじめ、カワハギの煮付けやメジロ、アオリイカの刺身など、その日に水揚げされたばかりの魚介が次々と並びました。
「島ってこんなにお魚がおいしいんやな。」
そんな子どもたちの声を聞きながら、父も母も笑顔で箸を進めていました。

夏休みに家族が来たときは宿舎へ泊まりましたが、今回は人数が多く、布団が足りません。
そのため、子どもたちも一緒に旅館へ泊まることになりました。


3.島で過ごした文化の日

翌朝も父は早くから港へ向かいました。私も少しだけ一緒に竿を出します。この日はタカベが入れ食い状態で、子どもたちも夢中になっていました。

釣り上げた魚を抱えると、今度は近くにいた島の猫たちのところへ走っていきます。
子どもたちは釣った魚を猫にあげて大喜びし、猫たちもおいしそうに食べていました。

その後は学校へ向かいました。
島の子どもたちと遊ぶことを、とても楽しみにしていたようで、実は来る前から手紙まで書いてきていました。

久しぶりに会った子どもたちは、すぐに打ち解け、校庭を走り回ったり、校舎の中で遊んだりしていました。
ふだんは私が教えている学校で、自分の子どもたちが島の子どもたちと楽しそうに遊んでいる。
その光景を見ているだけで、何だかうれしくなりました。


4.また静かな島へ

楽しい時間は、本当にあっという間でした。
14時45分発の3便で、両親と家族は本土へ帰っていきます。
港で手を振ると、船はゆっくり岸壁を離れ、白い航跡を残しながら少しずつ小さくなっていきました。

ついさっきまで聞こえていた父や母の声、子どもたちの笑い声も、船が見えなくなると一緒に遠ざかっていったような気がしました。
港には、いつもの静かな時間が戻っています。

これまでは休日になると、自分がこの船に乗って本土の家へ帰ることがほとんどでした。
でも、この日は家族を見送る側でした。
港から宿舎まで歩く道が、この日は少し長く感じました。

翌日からは、また4人の子どもたちとの学校生活です。
総合的な学習では、新しい「塩物語」が少しずつ動き始めようとしていました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次回に続く。👇

前回の話👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇

約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。
そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。
3年目2004年度の、Season3のお話です。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。

離島の小学校編Season3👇

離島の小学校編Season1👇👇

離島の小学校編Season2👇👇👇

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