【ショートショート】ときめきトゥーシューズ
【お題】
【ときめきトゥーシューズ】
親の夢を子供に託すのは良くないと、昔誰かが言っていた。
私もそう思う。
私をバレリーナにしたがる母親が私はどうしようもなく嫌いだったが、当時は母に逆らうなんて発想は存在しなくて、嫌いな母に嫌われないように、必死にレッスンした。
学校が終わると直ぐに母の車でバレエ教室に行き、夜遅くまで練習。休みの日は家で母との個人レッスン。放課後に友達と遊んだことは、一度もない。
人生で最も輝かしい青春の全てを母に奪われ、バレエに捧げた。
世界一のバレリーナになって、ようやく私は報われる。じゃないと私の人生に、意味はない。
18歳の時、練習中に右足に強烈な痛みが出て私は病院に運ばれた。
靱帯損傷。
バレリーナとしての経歴は幕を閉じて、私の人生は意味を失った。
10年後、私は結婚して娘を授かった。
娘にはバレエを習わせないと心に硬く誓っていたが、実家でトゥーシューズが目に入る度、私の心はどうしようもないくらいに、ときめくのだ。
上記に参加させていただきました。
