恋は終業1分前に始まった 【せりふ三題噺】
せりふ
「ショート……いや、グランデサイズで」
お題
草原
返却
ペンネ
本文
ペンネが食いたい
ペンネアラビアータの辛さが俺を捕らえて離さない
草原をかける黒豹の様にいますぐ食いに行きたい
あと5分で仕事が終わる
そのまま真っ直ぐ店に行こう
そこへ一人の女が現れた
手にはたくさんの書物を抱えている
10冊はあるぞ
返却?
この時間に?
そんなに?
手続きだけチャチャッと終わらせ
棚に戻すのは明日にしよう
いや、今日は金曜日だから
戻すのは月曜日だ
とにかく早く食いたい
女の歩くのが遅い
早く来て手続きしろよ
あーあ
あんな所で本をぶちまけた
あと3分で終わりなのに
もう閉めちゃおうか
本日は終了です
月曜日に出直して下さいって
だがそれは
親切丁寧のポリシーに反する
1分前
やっと女が目の前に
「すみません。こんなにたくさんあるのにギリギリで」
女の言葉とともに閉館のチャイムが鳴った
「大丈夫ですよ。チャチャッと手続きしちゃいますから」
あーあ、言っちゃった
10分残業決定!
ペンネアラビアータが10分遠のく
よく見ると綺麗な女
心の中の天秤計りが振れる
ペンネアラビアータが持ち上がる
彼女の方がしっかり重い
10分後手続きが終わった
「お詫びの印にコーヒーを奢らせて下さい」
女の言葉に耳を疑う
ペンネアラビアータはもうどっか行った
「とんでもない僕が奢りますよ」
恋は終業1分前に始まった
「ショート……いや、グランデサイズで」
お互いの事を知り合う時間はたっぷりある
ペンネアラビアータは今度彼女と食べよう
こちらの企画に参加させて頂きました。
はらとけい様、よろしくお願いします。
