夢のつづき
夢のつづきを見たいと言う人は多いが
つづきなどなかなか見る事は出来ない
でも私の場合は違う
私は夢のつづきをずっと見続けている
それは、あの夢から始まった
気付くと目の前に見知らぬ女が倒れていた
血だらけでおそらく死んでいる
ピンクのカーテンがかけられているからおそらくこの女の部屋だろう
私の手にはナイフ
私が殺したのか?
そんな私の戸惑いをよそに
夢の中の私は淡々と仕事をこなしていた
返り血で汚れた手を水道水で洗い
ナイフの指紋を丹念に拭き取る
その動作は手慣れた殺人鬼
そして突然パトカーのサイレン
そこで私は目覚めた
今日は来年小学校に上がる息子のランドセルを買いにいく
何件か店を回りやっと決まって家に帰ったのが夕方
風呂と食事、そしてワインでバタンキュー
そして夢のつづき
パトカーのサイレンに驚く私はカーテンのすき間から外を見る
外には二台のパトカー
誰が通報したのか
私は舌打ちし、反対側の窓から外へ
生け垣を乗り越え道路に出て走った
まだ気付かれてはいないようだ
少し速度を落とし角を曲がる
そこには二人の警官が立っていた
そこで私は目覚めた
妻と子供と三人で朝食をとり
車で子供を幼稚園へ送り仕事へ
私はIT関係の会社を経営している
小さな会社だが業績は右肩上がりに伸びている
激務をこなし夜に帰宅
風呂と食事のあとバタンキュー
そして夢のつづき
二人の警官が私に詰め寄る
私は逃げようと踵を返した
だが後ろにも警官が二人
私は観念した
ガチャリ
私の両手に手錠が掛けられた
金属の手錠の冷たさが遠い記憶を呼び覚ます
夢の中の私は何度も犯罪を犯し、その度に逮捕されていた
そしてまた目覚めた
今日は息子の入学説明会
夫婦揃って行く事にしていた
妻が私のネクタイを直す
三人で車に乗り込みシートベルトを締めた
そして目覚めた
えっ、こっちが夢?
私、いや俺は薄暗い牢獄にいた
考えてみれば俺には家族などいない
欲しいと思った事もない
俺は根っからの犯罪者だ
今度のお努めは長くなるだろう
もしかしたら生きては出られないかも知れない
それでもいい
俺はこの、薄暗い牢獄で
また
夢のつづきを見ればいい
こちらの企画に参加させて頂きました。よろしくお願いします。
