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俺は自分の孤独を直視できなかった。いやこの言い方はカッコつけてる。

淋しいを認められなかった。

「淋しい、一緒にいてほしい」と言えなかった。「助けて、困っている」と言えなかった。のだ。 なぜだろう?  それは、助けを求めるのが恥ずかしかったからだ。

子供たちのグループで 夏休みのプールに行ったのに肝心の海水パンツを忘れ、誰にも告げず一人で帰ってきてしまった海パン事件は、俺が子どもの頃から自己矛盾(プールなのに海パンがない)に恥ずかしさを感じていたことを端的に示していたと思う。自己矛盾を、人の助けを得て解消することに思い至らなかった。小学1年生だったとはいえ、人に弱みを見せられなかった。助けを求められなかった。

大学ではバンド活動を始め、就職活動の時期に「音楽活動を続けたいから」と言って派遣社員になった。この選択にはさすがに大きな不安(夢なのに怖い)を感じていたにもかかわらず、卒業後の俺の音楽活動に加わってくれる親友に不安を打ち明けられなかった。

時がたち、職場の同僚でとても素敵な人がいて付き合いたいと思ったけど告白できなかった(したいのに度胸がない)。かつて『ねるとん紅鯨団』を観てやり方は教えてもらっていたはずなのに。

「人は孤独なものだ。それに耐えられないのはアマちゃんだ。孤独に耐えている自分は偉いのだ」と自分に言い聞かせてきた気がする。 孤独に耐えている自分は偉い、という考えは急所を示していると思う。助けを求められない自分を正当化するに留まらず、偉いと考えている。これ、何だろうね?

「人は孤独なものだ」っていう言葉のもっとも深い真の意味は、求めて人とつながった後にも生じざるを得ない実存の孤独であって、「ぼっちが淋しい」ではないはずだ。俺はわかっていながら孤独の異なるレイヤーを故意にはき違えて自己欺瞞を犯していたのだ。

自分の孤独を直視できなかった。いやこの言い方はカッコつけてる。本当は、淋しいを認められなかった。「淋しい、一緒にいてほしい」と言えなかった。「助けて、困っている」と言えなかっただけだ。

(820字)


このエッセイについて

作者意図

課題本は、語り口自体は平易で読みやすく作られていましたが、後半に行くにつれてだんだん読むのが辛くなっていきました。テーマが人間関係やメンタルになり、私自身の問題に深くかかわるものになっていったからです。そういった心にグサグサときた複数の項目のうち、特に重要だと思ったのが「過剰な同情」でした。私自身の問題ですが、それが相手にとっても悪い影響を及ぼすことだったからです。まずこの問題を何とかしたいと思い、エッセイのテーマとしました。核心を突く大きな問題だったため、今の自分にまずできることが、目を逸らさず静かに見つめることだと思いました。

その後、ある日の夜に寝ている際に、第3稿に出てくる「心の深淵」を見つめその淋しさを正直に感じている自分を発見しました。自分は感じている淋しさを認められず、人に弱みを見せられないので助けを求めることもせずこれまで来てしまったのだと納得しました。一から書き直し、それをエッセイにすることにしました。当初は素材として使う実例として海パン事件だけを思いついていたのですが、書いていくうちに、似た実例をもっと加えようと思い立ち、その他の実例も並べるという構成にしました。

完成までの経緯

この作品は第4稿です。

課題本は9月始めに入手し、5~6日くらいかけて読了しました。読みながらアイデアをスマホのメモ帳に箇条書きしておき、まず9/7にエッセイとして約1.5時間をかけて第1稿たたき台を書き上げました。翌日の9/8、そのたたき台に手を加え約1時間かけて第1稿を完成させました。

その後一日寝かせ、9/10に原稿を見直しました。課題本の「過剰な同情」の項目では「相手を依存させてしまう」という実害が指摘されていました。私自身、かなり近い指摘を受けたことがあったので、依存させてしまっているかも、というエピソードを挿入しました。あと、わかる人には伝わってほしいという仕掛けを入れました。約1時間かかりました。これが第2稿です。

9/14になってあらためて第2稿を読んだとき、導入後の説明がやや長く平板だと感じました。読者が退屈して離脱するかもしれないと思いました。そこで言い回しを若干変更・工夫しました。約25分かかりました。それが第3稿です。9/20に若干の修正を加えました。

こうして完成した第3稿(807字)でしたが、見られたくない人のいる内容でしたので、ふみサロには提出しましたがnoteでの公開は見送ることにしました。

その後、ある日の夜に寝ている際に、第3稿に出てくる「心の深淵」を見つめその淋しさを正直に感じている自分を発見しました。そのとき感じていたことを言葉にしてみようとメモ帳アプリに書き出してみました。二日ほど置いて9/24にそのメモを見ると、何とかエッセイにできそうだと思えたので、第3稿とはまったく違う内容の第4稿を書きました。1時間20分かかりました。

翌日、ふみサロ終了後にエッセイを見返すと、思いのほかうまくかけていると感じましたので、手直しをして第4稿で完成としました。40分程度かかりました。

また、今回は820字で完成としました。前回まではきっちり800字以内に収めていましたが、ふみサロがリニューアルしたこともあり、字数制限の趣旨を曲げない程度なら文字数の超過は許容することにしました。ただ、そうだとしても少し超過しすぎかもしれません。この第4稿はふみサロには提出しなかったので、まあ良いということにしました。


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