もう一つの居場所#40
「暑い……まだ5月やぞ……」
そんな言葉が自然と出るほどの暑さになった。
ニュースでは、大分と兵庫で35度を記録したと流れている。
ジャケットを着ているだけで暑い。
夏用のスーツは通気性のいいものにしているが、まだ身体が追いついていないのだろう。
週の半ばは雨予報も重なり、湿度も高かった。
仕事で訪れた梅田を歩いていると、じんわり汗が出てくる。
さすがに上着を脱ぐことにした。
街を歩く若いサラリーマン風の人たちは、もっと軽装で、どこか涼しげに見える。
(もっとカジュアルでもええんかなぁ。)
そんなことを思いながら、人混みの中を歩いた。
週の半ばは雨予報だったが、不思議とウォーキングの時間はうまく避けてくれた。
夜も気温は高く、半袖でちょうどいいくらいになってきている。
週の半ば、仕事で遠出した先で、何度か訪れたことのあるうどん屋さんへ入った。
食べ終わる頃だった。
ゴゴゴー……という雷鳴とともに、突然の大雨に見舞われた。
(もうゲリラ豪雨の時期なんか……)
そう思わせるほどの激しい雨だった。
(あっという間に梅雨くるんやろうなぁ。)
窓の外を激しく打つ雨を眺めながら、そんなことを考えていた。
金曜日は、いつものように「もう一つの居場所」へ向かった。
店に近づくにつれて、ここにも夏を知らせる香りが漂っていた。
(おお~、もうこの時期かぁ。)
メニューを見る前から、ひとつだけ注文は決まっていた。
暖簾をくぐり、いつもの席へ座る。
常連さんご夫婦に挨拶をして、改めてメニューに目をやる。
(今日のメニュー、また悩むなぁ……)
そう思いながらも、すでに決めていた一品と、あれば頼むと決めている定番を注文した。


しばらくして漂ってきた、とうもろこしを焼く醤油の香ばしい匂い。

その香りに、ふと夏祭りの記憶がよみがえる。
まだ夏ではない。
けれど、季節は確実にそちらへ向かっている。
そんな初夏の夜を、静かに楽しんだ。
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