[フードエッセイ]具だくさんの味噌汁を作る
「そうだ、味噌汁を作ろう」。
キッチンや冷蔵庫の中を見回すと、そこには使いかけの野菜たちが「私たちを使って!」とばかりに鎮座しています。
ジャガイモ、ニンジン、タマネギ。
「よし、今日は具だくさんの味噌汁にして、野菜をたっぷり摂るぞ!」と、なぜだか急に健康意識が高まりました。
知ってますか?
味噌汁って、その歴史は縄文時代にまで遡ると言われているんです。
各地で独自の進化を遂げて、家庭ごとに「うちの味」があるのが面白いところ。
ちなみに、私の子どもの頃の味噌汁の具はワカメと豆腐が定番でした。
さて、まずはジャガイモとニンジンはピーラーでツルツルと皮をむきます。
このピーラーの感触、何とも言えず気持ちいいですよね。まるで、野菜たちが新しい肌に生まれ変わる瞬間に立ち会っているかのようです。
タマネギは包丁で皮をむきます。
そして、これらを適当な大きさにザクザクと切る。
この「適当な」といういい加減さが、料理の醍醐味かもしれません。
具材を切り終えて、
「他には何か使えるものはないかな?」
と再び冷蔵庫を覗き込みました。
すると豆腐とこんにゃくが、さらには奥の方にひっそりと隠れていた大根とゴボウを発見。
これぞ、冷蔵庫の奥底に眠る「忘れ去られた食材たち」です。
「この際だから、全部使い切ってしまえ!」とばかりに、適当な大きさにカット。
まな板の上が、まるで野菜たちのカーニバルのようです。
「さてと」と、いよいよ鍋に火をかけようとしたその時、ふと目に入ったのが、パックに残っていた少量の豚肉でした。
「あ、そういえば豚肉があったな。少しだけだし、味噌汁に入れてもいいか」と、何のためらいもなく投入。
野菜と豚肉を煮込み、アクを取りながらしばらく煮詰めます。
野菜の甘い香りが、湯気とともに立ち上ってきます。
「うーん、いい香り!」
そして、頃合いを見て味噌を溶き入れます。
味噌がじんわりと全体に広がり、なんとも言えない奥深さをもたらします。
大きなお椀に熱々の味噌汁を注ぎ、仕上げに刻んだ長ネギを散らします。
「さあ、できあがり!」
「あれっ?」
私の頭の中に疑問符が浮かびました。
「これって・・・」
そう、私が作ったのは、紛れもない「豚汁」でした。
味噌汁を作るはずが、いつの間にか豚肉とたくさんの野菜たちが主役の、立派な豚汁に。
計画性ゼロの、まさかの変身劇でした。
でも、これがまた美味しくて! 豚肉と野菜の旨味が溶け出し、体中に染み渡るような温かさ。
予定とは違うけれど、結果オーライとはこのことですかね。
人生も料理も、時には予期せぬ方向へ進むもの。
でも、それが意外な喜びをもたらしてくれることもある。
そう思いませんか?
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※蛇足 豚汁と味噌汁との違いは?
豚汁は、具材を油で炒めてから出汁と味噌を加えて煮込む。
味噌汁は、具材は炒めず、味噌を加えてからは早めに火を止める。
具材には特に制限はないものの、「豚汁」には豚肉は必須!
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