私を月に連れてって - - エッセイ三題噺
Fly me to the moon
このフレーズを聞いて、何を思い浮かべますか?
ジャズのスタンダードナンバー
月面着陸
・・・・
- - Fly me to the moon - -
「Fly me to the moon」
おなじみのジャズのスタンダードナンバーですね。
1954年、作詞作曲家のバート・ハワードによって作られています。
当初は
「In Other Words」
というタイトルだったのですが、のちに
「Fly me to the moon」
と変わっています。
この曲、フランク・シナトラがカバーして世界中で大ヒットしました。
「Fly me to the moon」
直訳すれば
「私を月に飛ばして」
ですが、この歌詞が持つロマンチックなニュアンスから、
「私を月に連れてって」
と訳されることが多いようです。
愛する人に「月へ連れて行ってほしい」と願う気持ちが、甘く切なく歌い上げられています。
実はこの曲、1969年のアポロ11号の月面着陸の際に、宇宙船内で流されたそうです。
つまり、人類が初めて月面で聴いた曲が、この「Fly me to the moon」だったというわけです。
想像してみてください。
漆黒の宇宙空間で、あのメロディが静かに流れ、その音を聴きながら人類が初めて月に降り立つ瞬間を。
月と音楽とがこれほどまでにロマンチックに結びつくなんて、なんともドラマチックではありませんか。
- - 私を月へ飛ばして - -
人類が実際に月を目指した壮大な計画、それがアメリカ航空宇宙局(NASA)によるアポロ計画です。
1961年から1972年にかけて実施されていて、1969年7月にはアポロ11号が人類初の月面着陸に成功しました。
この計画によって、合計6回もの有人月面着陸が達成されたのです。
しかし、人類が月を目指す夢は、アポロ計画よりもはるか昔から存在していました。
フランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表したSF小説『月世界旅行』を知っていますか。
『地球から月へ』と『月を周って』の2部作からなる物語で、南北戦争終結後のアメリカで、火器の専門家集団「大砲クラブ」が巨大な大砲を製造して、人間を乗せた砲弾を月に撃ち込もうとするという、なんともぶっ飛んだお話です。
前編では計画の立案から砲弾の発射までが描かれ、後編では砲弾に乗った3人の男たちが月を周回して、紆余曲折の末に地球に無事帰還する様子が描かれています。
月には着陸できなかったものの、当時の科学技術では想像もつかないようなアイデアが詰まった、まさに夢のような物語です。
ところで、ブラックユーモアを一つを紹介します。
各国が月着陸と地球への帰還を競っている中で、人類初の月着陸は日本人によって実現されたというものです。
「片道の特攻飛行」だったのです。
もちろん笑えない冗談ですが、それくらい月に到達することが、当時の人類にとって無謀とも思える挑戦だったということを物語っているのかもしれません。
- - 私を月に連れてって - -
いつかハネムーンで月へ行く、なんて時代が本当に来るかもしれませんね。
想像するだけでワクワクしてしまいます。
ところで、
「私を月に連れてって」
というフレーズとを聞くと、私はなぜかある映画を思い出してしまうのです。
『私をスキーに連れてって』
1987年公開の原田知世主演の日本映画です。
この映画を知っているということは・・・・
「古い奴だとお思いでしょうが、古い奴程・・・」
ええ、私もその「古い奴」の一人です。
バブル期の熱狂と若者たちの恋愛模様とを描いたこの映画は、挿入歌の松任谷由実さんの
「恋人がサンタクロース」
とともに、今も多くの人の心に残っています。クリスマスの定番曲として、今もなおカバーされ続けていますよね。
雪山にクリスマス。真夏の今、この話題はさすがに季節外れですが。
でも、なぜかこの「私を月に連れてって」という言葉が、私の中で『私をスキーに連れてって』と響きあってしまうのです。
どちらも、誰かに「連れて行ってほしい」という、ちょっぴり甘えを含んだ願いが込められているからでしょうか。
「Fly me to the moon」。
この一つのフレーズが、音楽のロマン、人類の挑戦、そして個人的な懐かしい記憶まで、様々な「月」へと私たちを誘ってくれました。
月は、私たちの夜空にいつも静かに輝いています。
遠い存在でありながら、時には恋人たちの願いを受け止め、時には科学者たちの探求心を刺激し、またある時には、ただそこに「ある」ことで、私たちを安らかに包み込んでくれる。
あなたにとっての「月」は、どんな存在でしょうか?
もしかしたら、まだ見ぬ憧れの場所かもしれません。
あるいは、心の中にそっとしまってある大切な思い出の象徴かもしれませんね。
今夜、空を見上げてみませんか?
そこにはあなたの「月」が、優しく微笑みかけてくれるかもしれません。
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