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雀の少子化 - - 遊悠エッセイ

 最近、雀を見かけることが少なくなったと思いませんか?

 かつては公園や庭先、電線の上など、どこにでもいた小さな鳥。
 ちゅんちゅんと軽やかに鳴く姿は、まさに「日常の風景」の一部でした。

 けれども、ふと立ち止まって空を見上げたり、街を歩いたりしても、あのにぎやかな群れが見当たらない。
 そう気づいたとき、私は少しだけ寂しい気持ちになりました。

 雀はいつから減ってしまったのでしょうか?

 実は、統計データとしてもその減少は確認されています。
 日本野鳥の会などが行っている全国の野鳥調査によると、雀の個体数は1980年代をピークに減少傾向。ここ20〜30年でかなりの数が減ったそうです。
 特に都市部では、以前に比べて半分以下になっているという推計もあります。

 なぜ雀がいなくなってしまったのか?

 第一の理由としてよく挙げられるのが、「巣を作りにくくなった」こと。
 昔ながらの日本家屋では、瓦屋根の隙間や軒下がたくさんありました。雀たちは、こうしたちょっとした隙間に巣を作り、子育てをしていたのです。
 しかし、最近の住宅は高気密・高断熱が基本。軒下はきっちりと塞がれ、外壁も滑らか。これでは巣を作る場所がありません。
 マンションのベランダも、雀にとっては安心して巣を構えられる場所ではないのでしょう。

 第二の理由は餌の問題。
 雀の主な食べ物は、雑穀や虫、草の種などです。しかし、除草剤や農薬の影響で、野原に雑草が少なくなりました。虫の数も減少しています。
 また、昔は米屋の店先や軒下にこぼれた米が落ちていたり、子どもたちがパンくずをまいていたりと、人間の暮らしと雀の生活とが重なっていたものです。
 今では街も清潔になり、そうした「ちょっとした餌」すらも見かけません。

 第三の理由は外敵の存在。
 都市部ではカラスや猫が増えたこと、また外来種であるムクドリとの餌場の競合なども、雀にとっては生存競争を厳しくしているそうです。

 加えて、温暖化など気候変動の影響も少なからずあるのでしょう。
 自然のバランスが少しずつ崩れていく中で、敏感な小さな命は真っ先に影響を受けるのかもしれません。

 こうした雀の「少子化」は、私たち人間社会の少子化ともどこか重なります。

 安全で快適な暮らしを追い求めるうちに、子育てがしにくくなった環境。
 人と人とのつながりが希薄になり、自然との距離も遠ざかっていく感覚。
 そして、見えないところで進む「命のリレー」の減少。

 雀も人間も、生きるための条件が複雑に絡み合い、昔ながらの「当たり前」が当たり前でなくなってきているのです。

 雀が減ったという事実は、私たちの生活の変化を静かに映し出しているのかもしれません。

 「自然との共生」という言葉はよく聞きますが、それはただ山や森を大切にすることだけではありません。
 私たちの日々の暮らしの隙間に、小さな命が生きられる空間を残すことにもつながっているのです。

 朝起きたら耳を澄ませてみてください。

 私たちが見失いつつある何かがあるかもしれません。

 静けさの中に、雀の声は聞こえますか?



書籍の紹介

スズメ――つかず・はなれず・二千年
 岩波科学ライブラリー〈生きもの〉
 三上 修 (著)
 岩波書店 (2013/10/5)
「ザ・普通の鳥」スズメ。しかし見飽きたようなその顔も、思い浮かべるのは難しい。まして生態には謎がいっぱい。人がいないと生きていけない?数百キロも移動?あれでけっこう意地悪!?「日本にスズメは何羽いるか」の研究で知られる著者が、減りゆく小さな隣人を愛おしみながら、その意外な素顔を綴る。とりのなん子氏のイラストつき!
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)


にっぽんスズメ日誌にっぽんの野鳥シリーズ Kindle版
 中野 さとる (写真)
 ‎ カンゼン (2024/2/15)
 にっぽんのスズメのかわいすぎる姿をSNSなどを通して日々発信、海外からも注目を集めるスズメ写真家・中野さとるさん。
 そんな中野さんがスズメたちをおもな被写体としはじめて約10年。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)


スズメのくらし Kindle版
 平野伸明 (写真)
 福音館書店 (2019/2/10)
 私たちにもっとも身近な鳥、スズメ。しかしスズメが、どんな巣を作るか知っていますか?スズメはとても臆病で、人間が近づけないため、そのくらしぶりはあまり知られていません。きれい好きなことが子育てに役立っていることなど、スズメの秘密を明かします。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)


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