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生成AI・ビジネス/芸術への利用とその先(徒然に思うこと)

1.はじめに

 最近のAIの進歩には凄まじいものがあります。
 AIのビジネス分野での利用が急速に広まってきています。芸術分野での利用もまたしかりです。
 生成AIの原理を知った上で、その可能性と限界を考えてみたいと思います。


2.黎明期の記憶

 私がAIと最初に関わったのは学生時代のことです。当時は、画像認識についても実用化にはまだまだの段階でした。ゲーム理論を参考に、オセロゲームのプログラムを作り、仲間たちとプログラムどうしで対戦させていました。面白いことに、それぞれのプログラムには、それを作成した人の思考回路(アルゴリズム/個性?)が反映されてしまうのです。オセロが弱い人が作ったプログラムは、やはり弱いのです。また、自分で作ったプログラムと対戦すると、必ず自分が勝利します。何しろ、プログラムの思考回路を全て知っているのですから、簡単に「裏をかく」ことができるのです。

 仕事でAIと関わりを持った頃は、「エキスパートシステム」がもてはやされていました。AIといっても、現在のものとは比べ物にならないほど稚拙なものでした。状況(条件)に応じて実施する処理を記述した「ルール」と「データ」を人間が記述し、それに基づいてAIプログラムが実行されるのです。したがって、あらかじめ記述されている事以外は実行(判断/理解)することがでません。

3.生成AIの原理、可能性と限界

 現在のAIは、「ディープラーニング」と言って、大量の情報/データを元に学習して、最適な答えを統計的に予測しています。少なくとも、人間がいちいち教えてやらなくても、思考回路は成長していくと言えそうです。

 AIは、元となる情報/データに基づいた「幅広い知識/情報」を持ち、さまざまなトピックに対応することができます。
 一方で、人間のように「考えて」いるわけではなく、「理解」しているわけでもありません。「間違った」あるいは「偏りがある」情報/データを取り込んでしまうと、「間違った」/「偏りがある」思考回路を生成してしまう可能性もありうるのです。「しれっと」もっともらしく「間違った情報」を答えることもあります。
 また、元となる情報/データが古い場合があり、最新のニュースや出来事には対応できないことがあるようです。

4.AIによる創造を考える

 「創造」とはどういうことなのでしょうか。AIの進化によって改めて問われているようです。突き詰めていくと「哲学の世界」にのめり込んでいくことになりそうです。
 創造の本質は、「無からの創造」か、「組み合わせの創造」か? 宇宙の始まり/ビックバンは、「無から発生した」と言うよりは「量子もつれに起因している」らしいです。一方で人間の行う「創造」は、全くの「無」から創り出すのではなく、何らかの元ネタがあるのかもしれません。ただし、単なる既存のものの組み合わせではなく、人間特有の「意識」や「直感」が関与するかどうかが鍵となるようです。

 「創造」の主なカテゴリーとしては、次のものが考えられます。
  (1)芸術的創造
   絵画、音楽、文学、演劇など
  (2)技術的創造
   科学や技術の発明
  (3)社会的創造
   社会システムや文化の変革
  (4)ビジネス的創造
   新しいビジネスモデルや製品の開発

 また、創造のプロセスには次のものがあると言われています。
  (1)準備
    問題やテーマについての知識を収集する
  (2)孵化
   無意識的に情報を整理し、新しい発想を生み出す準備をする
  (3)閃き
   突然、アイデアがひらめく瞬間
  (4)検証
   ひらめいたアイデアを評価し、実現可能なものにする

 先にも書きましたが、AIは大量の情報/データを元に学習して、最適な答えを統計的に予測しています。人間のように「考えて」いるわけではありません。新しい組み合わせを作ることはできるものの、「意識」や「直感的なひらめき」は持っていません。
 AIを創造に使うには、これら創造のプロセスの中で、AIが「得意とするもの」と「不得意とするもの」とを切り分けて使うことが「肝」となりそうです。真の創造とは異なるのかもしれません。

5.ビジネス分野での利用

 AIのビジネス分野での利用が急速に広まってきています。
 AIの特性をうまく利用すれば、その恩恵には計り知れないものがありそうです。一方で、使い方を誤れば、これまた計り知れない損失につながるかもしれません。元となる情報/データの出所や使い方によっては、「著作権問題」「不正使用のリスク」「倫理的な問題」などに足をすくわれる場合があるかもしれないのです。

 現在のAIで特に有効と思われる分野をあげてみたいと思います。

 (1)作業の自動化/効率化
  ・調査とまとめ
  ・アイデア出しの補助
  ・定型文書の作成
  ・議事録の作成
  ・文書の要約
  ・翻訳
  ・Q&A対応

 (2)ソフトウエア開発のサポート
  ・プロジェクトマネジメントの補助
  ・プログラムコードの生成補助
  ・プログラムのテスト
  ・エラー修正や提案

 (3)学習・教育支援
  ・受講者のレベルに応じた教材の提示・進行
  ・質問への回答

 (4)クリエイティブな作業の補助
  ・ デザインのアイデア出しや作成補助
  ・タイトル案を考える
  ・広告コピーの提案

 AIをビジネスで利用するためには、AIが出してきた結果に対して、中に潜んでいるかもしれない「ウソを見抜く」力は必要でしょう。その「真贋」や「有効性」を評価する力量が問われそうです。

6.芸術分野での利用

 AIの芸術分野、特に画像の分野での利用も急速に広まってきています。
 画像生成AIによる「写真」「イラスト」「動画」の生成など、かなりのクオリティが得られるようになってきました。しかしこれはAIが創造しているわけではなく、学習で得たデータやパターンに基づいて、作り出されているのです。
 ビジネスの場合と同様に、元となる情報/データの出所や使い方によっては、「著作権問題」「不正使用のリスク」「倫理的な問題」などに足をすくわれる場合があるかもしれないのです。

 AIが作り出す画像と、人間が創り出す画像とは何が違うのでしょうか。区別がつかないものも、かなり存在するようになってきています。 
 AIを「道具」としてうまく使いこなすことができれば、効率的な作業ができるでしょう。クリエイティブな作業の補助としては、この上なく有効なツールなのです。一方で、AIとの差別化ができなければ、単なる作業者はいずれはフェイドアウトする運命にあるのかもしれません。
 人間のクリエイターたちが生き残るためには、いかにAIとの差別化ができるかにかかっているのでしょう。「創造者」か「作業者」か、クリエイターとしての立ち位置が重要となるのではないでしょうか。

7.AIの発達に伴う職業の変化

 AIの発達によって、職業のあり方が大きく変化しそうです。「単純作業の自動化」が進む一方、人間ならではの価値が求められる分野が広がることでしょう。

 (1)なくなる可能性が高い職業
  AIによる自動化によって、取って代わられる可能性が高い、「単純作業」や「ルーチンワーク」が中心のもの。
  事務、翻訳、コールセンターなど。

 (2)残る可能性が高い職業
  AIには代替が難しい、「創造性」「対人スキル」「高度な判断が求められる」もの。
  医療、教育、経営、芸術など。

 (3)新しく生まれる職業
  AI時代に新たに求められるもの。
  ・AIの開発・運用・倫理管理関連
   AIエンジニア、データサイエンティストなど。
  ・新しいライフスタイル・価値観関連
   VR/ARコンテンツクリエイター、リスキリングコンサルタントなど。
  ・高齢化社会・持続可能な未来関連
   スマート農業技術者、バイオテクノロジー× AI研究者など。

 AI時代?に適応するためには、AIを活用しながら人間の強みを活かすスキルの習得が重要となりそうです。

8.今後に見る光と影

 AIの進化は今後さらに加速しそうです。現在のAIの延長線上では「(真の)シンギュラリティ(※1)」が実現する可能性は小さいかもしれません。しかしそれを完全に否定できる根拠も乏しそうです。ある面では「人間を凌駕する」部分はあるでしょう。
 進化の結果として、社会の様々な分野に、さらに大きな影響を及ぼすことが予想されます。これによってもたらされる「光」と「影」とは。

 仕事の効率化や生産性の向上、生活の利便性の向上、医療の発展とそれに伴う健康寿命の延び、環境問題解決へのアプローチの進化、・・・
 様々な職業の盛衰、教育の変革、・・・
 AIに依存しすぎることによる判断力の低下、創造力の喪失、・・・
 雇用の喪失と格差の拡大、フェイク情報の拡散と社会不安の増大、プライバシーの侵害、監視社会の進行、・・・

 そして、AIが暴走しさらには制御不能となる危険性も無視はできないのかもしれません。特にインフラでの利用や軍事的な利用は要注意です。危険な事態の発生を防ぐしくみや、発生した場合の影響を緩和するしくみも必要ではないでしょうか。「2001年宇宙の旅」や「ターミネーター」のようなSF映画の世界が来ないことを祈るばかりです。

9.おわりに

 AIの進化は社会に大きな変革をもたらすことでしょう。仕事や創作活動そしてふだんの生活においても、大きな助けになる可能性をもっています。一方で、社会的・倫理的な課題も多くありそうです。AIをどのように活用し、規制やルールをどのように整備していくかが、今後の社会のあり方を決定づける鍵となるでしょう。

 AIの「思考プロセス」を考えると、極端な言い方をすれば、現在のAIはあくまでも「統計的な予測」と「まとめ方」がうまいだけとも言えます。現時点では、真の創造性は期待できないでしょう。とは言え、あくまでも「道具」として割り切って、うまく使いこなすことで、大きな成果を生み出すことにもつながるはずです。そのためには「AIを活用しながら人間の強みを活かすスキル」、「AIが出してきた結果に対する真贋や有効性を評価する力量」は問われそうです。




※1. シンギュラリティー(技術的特異点)
 自律的な人工知能が自己フィードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知性が誕生するという仮説。 人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏が2045年にシンギュラリティーに到達すると予測していることから、2045年問題とも呼ばれている。(出典:IT用語集/NTTコミュニケーションズ)



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