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「真面目」についてまじめに考えてみた? - - 進化するニッポンの美徳

 もしも言葉に寿命があるのなら、「真面目」という言葉は、間違いなく長寿大国の住人でしょう。

 しかし、その顔は時代とともに変化して、まるで七変化する役者のよう。
 そんな「真面目」という、どこか捉えどころのない、しかし私たちの日常に深く根差した言葉の生態を、少しだけ意地悪な視点も交えながら探ってみることにします。

 いったい「真面目」さんは、いつ、どこからやってきたのでしょうか?

 「真面目」という言葉、一説には「正面(まとも)」に由来すると言われています。
 「まとも」とは、真正面から向き合うこと。つまり、ごまかしたり、逸らしたりしない態度を指すのです。

 室町時代には「まじめ」という形で使われていたようです。
 もしかしたら、その頃から「真面目」さんは、日本人のDNAに組み込まれる準備をしていたのかもしれません。

 そして、この「まじめ」が「真面目」と漢字で表記されるようになったのは、江戸時代に入ってからのようです。
 「真」の「面(おもて)」と書くことで、嘘偽りのない、真正の顔を表す意味合いが強調されたのでしょう。
 江戸の町で、商人が「あの人は真面目な働きをする」なんて言っていたら、それは最高の褒め言葉だったはずです。
 裏を返せば、その裏には「不真面目」という影が常に付きまとっていたとも言えますね。

 さて、この「真面目」という言葉、一口に「真面目」と言っても、実に様々な意味合いを含んでいます。
 辞書を引けば、「嘘偽りがなく、誠実なこと」「本気であること」「ふざけないこと」などと出てきますが、実際の使われ方には、もっと奥深いニュアンスが隠されています。

 例えば、「彼は真面目すぎて融通が利かない」なんて言われたら、褒められているのか、けなされているのか、一瞬戸惑いますよね。
 これは、「真面目」が持つ「堅実さ」や「誠実さ」というポジティブな側面と、「柔軟性の欠如」というネガティブな側面とが同時に顔を出している典型的な例です。
 まるで、優等生なんだけど、ちょっとだけ空気が読めない転校生のような、そんな複雑な表情をしています。

 また、意外な使い方として、「真面目な話なんだけどさ」という切り出し方があります。
 これは、冗談抜きで、真剣な内容を話すときに使われます。つまり、「今から話すことは、ふざけていない、本気の情報だぞ!」という注意喚起の役割を担っているわけです。
 この場合の「真面目」は、情報の信頼性を保証する「印籠」のようなものかもしれません。

 そして、「真面目にやってよ!」なんて言われると、そこには「ちゃんとやれ!」という叱咤激励の意味が込められています。
 まるで、体育教師がやる気のない生徒に活を入れるような、そんな熱いメッセージが伝わってきます。この「真面目」には、情熱と期待、そして少しばかりの苛立ちが混じり合っているのです。

 では、「真面目な人」とは、一体どのような人物像を指すのでしょうか。
 時代とともに、そのイメージも大きく変化してきました。

 昭和の「真面目な人」と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?
 おそらく、毎日同じ時間に会社に行き、コツコツと仕事に励み、滅多に文句を言わず、上司の指示には忠実に従う。
 そんな、まるで「日本の大黒柱」のような人物像ではないでしょうか。
 彼らは、与えられた役割を全うすることに美徳を見出して、会社や組織に尽くすことが「真面目」であるとされていました。
 まるで、一本の太い木のように、微動だにせず、ただひたすらに成長を続ける姿です。

 しかし、今や時代は令和。「真面目な人」の姿は、ずいぶんと多様化しています。
 例えば、SDGsに真面目に取り組む人。ボランティア活動に真面目に参加する人。趣味に真面目に向き合う人。もはや、組織のためだけではなく、自分自身の信念や興味のために「真面目」を発揮する人が増えてきました。
 彼らは、色とりどりの花のように、それぞれの場所で、それぞれの「真面目」を咲かせているのです。

 SNSが普及した現代では、「推し活に真面目」なんていう新しいタイプの「真面目さん」も登場しました。
 彼らは、好きなアーティストやキャラクターのために、時間もお金も惜しまず、真剣に、そして真面目に活動します。
 もはや「真面目」は、仕事や学業といった「義務」の領域に留まらず、「喜び」や「情熱」の領域にまで広がっているのです。

 このように変幻自在な「真面目」ですが、未来の「真面目」は一体どのような姿をしているのでしょうか? 
 想像力を羽ばたかせて、少しだけ未来を覗いてみましょう。

 未来の世界では、AIが私たちの生活のあらゆる側面をサポートしているかもしれません。もしかしたら、「真面目」という概念そのものが、AIによって再定義される可能性があります。

 例えば、AIが「このタスクは、真面目に処理する必要があります」なんて指示を出したら、それは「エラーなく、最適かつ効率的に、完璧に遂行せよ」という意味になるでしょう。人間の感情や曖昧さが排除された、純粋な「機能としての真面目」が誕生するかもしれませんね。

 一方で、人間固有の「真面目」は、ますますその価値を高めるのではないでしょうか。
 AIには再現できない、共感に基づいた「真面目」。
 他者のために、損得勘定抜きで、真剣に尽くす「真面目」。
 あるいは、誰もが諦めかけた課題に、粘り強く、愚直に取り組み続ける「真面目」。
 これらは、AIには真似のできない、人間だけが持つ「真面目の神髄」として、尊ばれるようになるでしょう。

 未来の「真面目さん」は、バーチャル空間の中で、アバターの姿になって、真面目にゲームの世界を救っているかもしれませんし、あるいは火星移住計画に真面目に取り組むサイボーグになっているかもしれません。
 しかし、どんな形であれ、「真面目」という言葉が持つ「誠実さ」「本気」という核となる意味は、未来永劫、私たち人間の中に息づいていくはずです。

 「真面目」という言葉は、まるで日本の四季のように、様々な表情を見せてくれます。
 時には厳しく、時には優しく、そして時には、私たちをクスッと笑わせてくれる。その奥深さは、一言では語り尽くせません。

 私たちが「真面目」という言葉を使い続ける限り、「真面目さん」は、私たちのそばで、静かに、しかし確実に、その姿を変えながら生き続けていくことでしょう。
 そしてその変化の先に、私たちはより豊かな「真面目」のあり方を見つけることができるはずです。

 さて、あなたにとっての「真面目」とは、一体どんな姿をしているでしょうか?

 ぜひ一度、自身の「真面目」と、『真面目に』向き合ってみませんか。
 そこにはきっと、あなただけの、特別な「真面目」の物語が隠されているはずです。


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