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「○○脳」の反乱! 氾濫する「脳」たちにどう向き合うのか

 書店をのぞくと、おすすめ本のコーナーが、まるで「脳の博物館」と化していたのです。

 「多動脳」、「スマホ脳」、「最強脳」、「ストレス脳」、「メンタル脳」、さらには「脱スマホ脳」。

 どの本も、まるで「あなたの脳は〇〇です! さあ、どうにかしましょう!」と、脳みそに直接語りかけてくるようです。

 そう、私たちはもはや「脳」というカテゴリで分類され、診断され、そして矯正される時代に生きているのです。
 まるで、脳みそが流行りのファッションになったかのようです。
 「今まさに脱スマホ脳がトレンドです!」なんて帯がついていてもおかしくないのです。


 この「○○脳」ブームは、現代社会の抱える深刻な問題の裏返しなのかもしれません。

 私たちはあまりにも多くの情報にさらされ、あまりにも多くの選択肢を迫られ、そして自分の心が何を感じているのか、見失いがちです。

 そこに颯爽と現れたのが、「○○脳」という名の救世主です。

 「あなたがいつも落ち着かないのは、多動脳だからですよ」。

 「あなたが夜も眠れないのは、ストレス脳が暴れているからです」。

 「大丈夫、そのスマホ脳を叩き直せば、あなたはもっと幸せになれる」。

 そう言われると、なんだか安心してしまう。
 自分の抱えるモヤモヤした感情や、原因不明の不調に、たった一文字の「脳」という名札がつけられただけで、まるで病名が分かったかのように腑に落ちてしまうのです。


 しかし、ちょっと待ってください。
 この「○○脳」という言葉は、私たちを本当に救ってくれるのでしょうか?

 この「○○脳」ブームは、まるでパンデミックのように拡散しています。
 一度「スマホ脳」だと診断されたら、今度は「最強脳」になるためのトレーニングを始める。しかし、最強脳を目指すうちに、また別のストレスに襲われ「メンタル脳」になる・・・という負のループに陥る人も少なくないようです。

 ある人は「スマホ脳」を克服するために、瞑想アプリをインストールして、朝晩欠かさず実践するかもしれません。しかし毎日瞑想を続けるうちに
 「このアプリ、本当に効果があるのかな?」
 「他の瞑想アプリの方がいいのかな?」
と、今度は「アプリ脳」になってしまうかもしれません。
 本末転倒とはこのことですよね。


 私たちはずっと「脳」に振り回されてきたのかもしれません。

 理屈ばかりこねる「理屈脳」に、感情を抑えつける「感情脳」。
 はたまた、何もしないことを選ぶ「無気力脳」に、常に完璧を求める「完璧主義脳」。
 これらはすべて、私たちが生きてきた中で培ってきた、いわば脳の癖のようなものです。

 その癖を、まるで欠陥品のように扱ってはいけません。
 私たちは、それぞれの「○○脳」と向き合い、対話する必要がありそうです。

 スマホ脳が暴れるなら、いっそスマホを一日封印して、アナログな世界に浸ってみる。
 ストレス脳が悲鳴を上げているなら、その悲鳴に耳を傾けて、あえて何もしない時間を作ってみる。


 人間は、単なる「○○脳」の集合体ではありません。
 感情も、思考も、記憶も、そして悩みも、すべてが複雑に絡み合って、唯一無二の「私」を形成しています。

 脳は、コンピュータのようなものでもありません。
 たとえて言えば、広大なジャングルなのです。
 未開の地があり、予測不能な出来事が起こる。それが脳の面白さであり、奥深さなのです。

 脳は、決して「矯正」されるべき対象ではありません。
 むしろ、様々な環境に適応しようと、懸命に働いてくれている、かけがえのない「相棒」なのです。


 この「○○脳」ブームは、やがて私たち自身の「反乱」を引き起こすかもしれませんね。
  「私はスマホ脳なんかじゃない。私は、私だ!」
と、脳のカテゴリ分けに反旗を翻す日が来るのです。

 その時私たちは初めて、ありのままの自分と向き合うことができるのかもしれません。

 今日も明日も、あなたの「脳」はあなたのために一生懸命働いています。

 さあ、たまにはこの愛すべき「○○脳」を、優しく撫でてあげてはどうでしょうか。



書籍の紹介

多動脳―ADHDの真実―(新潮新書) 『スマホ脳』シリーズ Kindle版
 アンデシュ・ハンセン (著), 久山葉子 (翻訳)
  新潮社 (2025/4/17)
 シリーズ120万部突破!『スマホ脳』著者が問う「なぜ人類は進化の過程でADHDという〈能力〉が必要だったのか?」
 生きづらさが強みに変わる世界的ベストセラー!
 注意力散漫で移り気で、そそっかしくて人の話を聞かない。なのにクリエイティブで粘り強く、探究
心旺盛でハイパーフォーカス能力があったりする……心当たりがありますか? あってもおかしくあ
りません、誰でもADHDの傾向はあるのだから、と精神科医の著者は言います。ではなぜ人類の進
化において、そんな「普通とはちょっと違った」脳が生き残ったのか? 
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

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スマホ脳(新潮新書) 『スマホ脳』シリーズ Kindle版
 アンデシュ・ハンセン (著), 久山葉子 (翻訳)
 新潮社 (2020/11/18)
 平均で一日四時間、若者の二割は七時間も使うスマホ。だがスティーブ・ジョブズを筆頭に、IT業界のトップはわが子にデジタル・デバイスを与えないという。なぜか? 睡眠障害、うつ、記憶力や集中力、学力の低下、依存――最新研究が明らかにするのはスマホの便利さに溺れているうちにあなたの脳が確実に蝕まれていく現実だ。教育大国スウェーデンを震撼させ、社会現象となった世界的ベストセラーがついに日本上陸。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

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脱スマホ脳かんたんマニュアル(新潮文庫) 『スマホ脳』シリーズ Kindle版
  新潮社 (2023/3/29)
 アンデシュ・ハンセン (著), マッツ・ヴェンブラード (著), 久山葉子 (翻訳)
 集中力がない、時間の使い方が下手、なんだか寝不足。それスマホが原因かも!? かしこくスマホと付き合うために、知っておきたい11章
 集中力が続かない。時間の使い方がヘタ。いつも寝不足。原因は、もしかしたらスマホにあるのかも。スマホを使っているとき、脳には一体何が起きている? ――勉強しているときスマホを隣の部屋に置くと効率アップ。何かを覚えるときはタブレットではなく紙で読もう。睡眠が記憶を定着させる。SNSを使いすぎると幸福度が下がる? 知っておけば絶対安心、スマホとかしこく付き合うための本。
( ※ 書籍の解説等は原則としてリンク先(Amazon)における解説をベースに記載しています。詳細内容はリンク先を参照願います。)

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最強脳―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業―(新潮新書) 『スマホ脳』シリーズ Kindle版
 アンデシュ・ハンセン (著), 久山葉子 (翻訳)
 新潮社 (2021/11/17)
教育大国スウェーデンではもうやっている!
 10万人の小中学生が読んだ「脳力強化バイブル」、ついに上陸!
 成績が上がる。集中力が上がる。記憶力がよくなる。発想力が豊かになる。ゲームがうまくなる・・・etc.etc. ではその方法とは!?
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ストレス脳(新潮新書) 『スマホ脳』シリーズ Kindle版
 アンデシュ・ハンセン (著), 久山葉子 (翻訳)
 新潮社 (2022/7/19)
 病気や飢餓などのリスクを克服し、人類はかつてないほど快適に生きられるようになった。だが、うつや不安障害は増加の一途……孤独にデジタル社会が拍車をかけて、現代人のメンタルは今や史上最悪と言っていい。なぜ、いまだに人は「不安」から逃れられないのか?  幸福感を感じるには?  精神科医である著者が最新研究から明らかにする心と脳の仕組み、強い味方にもなる「ストレス」と付き合うための「脳の処方箋」。
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メンタル脳(新潮新書) 『スマホ脳』シリーズ Kindle版
 新潮社 (2024/1/17)
 アンデシュ・ハンセン (著), マッツ・ヴェンブラード (著), 久山葉子 (翻訳)
 「史上最悪のメンタル」と言われる現代人。とりわけ若年層の心の問題は世界的に深刻だ。ユニセフが警告を発し、アメリカ政府は「国家的危機」とまで言及、日本でも高校生の30%、中学生の24%、小学4~6年生の15%が中等度以上のうつ症状を訴えているとの調査結果もある。脳科学からメンタルの問題を解説した世界的ベストセラー『ストレス脳』をあらゆる世代向けに、わかりやすくコンパクトにした〈心の取説(トリセツ)〉。
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