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資格を取っても仕事が来ない人と、来る人の違い



同じ資格を持っているのに、なぜ差がつくのか

中小企業診断士の登録をしてから、協会の研究会や支援機関の場などで、何人かの診断士の方々とお話しする機会がありました。

決して数え切れないほど多くの方にお会いしたわけではありません。ただ、少しずつ交流を重ねる中で気づいたことがあります。それは、「副業を始めたいけれど仕事の依頼がない」と悩んでいる人たちには、ある共通の傾向があるということです。

同じ試験に受かり、同じ肩書きを持っているのに依頼が来ない。しかも、それは能力不足が原因ではないのです。
知識量だけで言えば、むしろ仕事が来ていない人の方が豊富なことすらあります。理論に詳しく、勉強会での発言も鋭い。それでも依頼にはつながりません。

では、何がハードルになっているのか。数名の方の様子を拝見する中で見えてきた、その「傾向」について今日は整理してみます。

私自身もまだ道の途中にいるため、「こうすれば成功する」と偉そうなことを言える立場ではありません。あくまで「依頼がないと悩む人に見られがちな傾向」についての、一個人の観察記録としてお読みください。

違い1:名乗り方が「資格名」で止まっていない

仕事が来ない人の自己紹介は、たいていこうです。
自分も最初はこうでした。

「中小企業診断士の◯◯です。経営全般をご支援しています」

一方、依頼が続いている人はこう名乗ります。

「製造業の現場改善をやっています。特に多品種少量の工場で、段取り時間を減らす仕事が多いです」

前者は「何ができるか」を言っているようで、実は何も言っていません。経営全般という言葉は、聞いた側の頭に何のイメージも残さない。だから紹介のしようがないのです。

紹介というのは、誰かが誰かに「こういう人がいるよ」と話すときに起きます。そのとき相手の口から出てくるのは資格名ではなく、「工場の段取りを短くする人」といった具体的な絵です。絵が浮かばない自己紹介は、そもそも人づてに運ばれません。

資格は名乗りの前提であって、名乗りそのものではない。この違いは大きいと感じます。

違い2:仕事の「入口」を持っているかどうか

これは登録してから自分で動いてみて、いちばん強く実感したところです。

診断士の仕事の入口は、大きく分けていくつかあります。商工会議所、産業支援センターや産業振興機構といった公的支援機関、診断士協会、そして民間企業からの直接依頼。あるいは、副業サイトでの提案。
それぞれ性質がまったく違います。登録手続きの窓口と、仕事が発生する場所は別物なのです。

仕事が来ない人の多くは、この入口をひとつも持っていません。協会に所属してはいるけれど、名簿に載っているだけ。支援機関の担当者と話したことがない。

一方、依頼が続いている人は、必ずどこかの入口に「顔」があります。特別なコネがあるわけではなく、単純に何度か足を運んで、担当者と話をしている。それだけです。

自分も登録してから、近隣県の産業振興機構や地元の商工会議所に自分から会いに行きました。行ってみて分かったのは、向こうも「使える人」を探しているということでした。案件はあるけれど、任せられる人の顔が見えていない。その状態がかなり普通にある。

つまり需要と供給が両方あるのに、接続されていないだけ。この接続を自分でやりに行った人と、行かなかった人で差がついています。

違い3:実績の単位が「学び」ではなく「関与」になっている

仕事が来ない人のプロフィールを見ると、書いてあるのは受講歴や取得資格です。何を学んだかが並んでいる。

依頼が続いている人のプロフィールに並んでいるのは、何に関わったかです。どの規模の、どの業種の企業に、何を、どれくらいの期間関わったか。

ここで大事なのは、実績の華やかさではないと思っています。小さくてもいい。「従業員30名の金属加工業で、受注管理のExcel化を3か月支援した」という一行があるだけで、依頼する側は判断できます。判断できる材料を渡しているかどうかが分かれ目です。

学びの記録は、自分にとっては積み上げですが、相手にとっては判断材料になりません。この非対称に気づいていない人が、かなり多い気がします。

違い4:稼働条件を先に開示している

これは私のように、副業・兼業でやっている人に特有の分かれ目です。

会社員をしながら診断士の仕事をする場合、平日日中に動けないという制約があります。この制約自体は誰でも同じです。差がつくのは、それを先に言うかどうか。

依頼する側からすると、いちばん困るのは「頼んでみないと動けるか分からない人」です。だから、声をかける段階で無意識に外される。悪気なく外されるので、外されたことにも気づかない。

逆に「平日夜と土曜なら動けます」「月20時間までなら確実に取れます」と先に言っている人は、条件が合う案件のときに思い出してもらえます。制約があること自体は減点ではなく、制約が見えないことが減点なのです。

これは自分が業務委託の契約を受けたときにも実感しました。条件を先に握れているほうが、話が早い。

違い5:探されたときに見つかる状態にしてある

最後がこれです。

紹介や声かけの前後で、相手はほぼ必ず名前を検索します。そのときに何も出てこないと、話がそこで止まることがあります。逆に、専門領域について書いたものがいくつか出てくれば、それだけで判断が進みます。

ここでよく誤解されるのが、「発信しているかどうか」の話にすり替わることです。毎日SNSに投稿していても、それが専門性と結びついていなければ、検索されたときの材料にはなりません。逆に、記事が数本しかなくても、その内容が「この人はこの領域の人だ」と分からせるものであれば十分に機能します。

量ではなく、見つかったときに何が分かるか。ここが本質だと思います。

「来ない人」に共通する3つの誤解

観察していて、仕事が来ない側にはいくつか共通の前提があるように見えます。

ひとつめは、実力がついてから動こうとしていること。 準備が終わってから営業しよう、もう少し勉強してから支援機関に行こう、と考えている。でも実力は案件を通じてしかつかないので、この順番だと永遠に始まりません。

ふたつめは、資格が営業してくれると思っていること。 難関資格であるほど、この錯覚は強くなる気がします。合格した瞬間の達成感が大きいぶん、そこが終点のように感じられてしまう。実際には、資格は「話を聞いてもらえる状態」を作るだけで、そこから先は自分で動くしかありません。

みっつめは、単価から入っていること。 最初から相場を気にして、安い案件を避ける。気持ちは分かりますが、実績がゼロの状態では、相手にとって判断材料がないので高い依頼は来ません。最初の一件は、金額よりも「次に語れる実績になるか」で選んだほうが結果的に早い、というのが観察から得た感触です。

結局、差は能力ではなく「接続」だった

こうして並べてみると、5つの違いはすべて同じことを言っています。

仕事が来る人は、自分と仕事のあいだの距離を縮める行動を取っている。名乗り方で相手の頭に絵を作り、入口に顔を出し、判断材料を渡し、条件を開示し、検索されたときに見つかる場所にいる。

どれも高度な能力を必要としません。必要なのは、準備が終わっていなくても動き出すことだけです。

自分自身、まだ胸を張れる段階ではありません。登録から日が浅く、支援機関との関係も作っている最中です。ただ、動いてみて分かったのは、「動いた人にしか見えない情報がある」ということでした。案件があることも、機関が人を探していることも、外からは見えません。中に入って初めて分かる。

資格を取ったのに何も起きていない、と感じている人がいるとしたら、たぶん実力の問題ではないと思います。まだ接続されていないだけです。

準備が整うのを待たずに、まずひとつ、入口の扉を叩いてみる。そこから先は、案外早く進みます。
自分自身の体験でもそれは痛感しました。

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