フェルメール『聖プラクセディス』〜フェルメール作品か否か?作品の真作を巡る理由と疑念
『聖プラクセディス』は、最初はイタリアの画家フェリーチェ・フィケレッリの作品とされていました。しかし、フェルメールのサインとみられるものがあることから、イギリスの美術史家マイケル・キットソンが、フェルメールがフィケレッリの作品を模写したフェルメールの作品としての可能性が浮上してきました。

作品について
フェルメールの作品の中でも数少ない、明確に宗教的なテーマを扱った《聖プラクセディス》は、迫害され殉教した者の体を清めるローマカトリックの2世紀頃の聖女を描いています。彼女の背後には、殺された男性の遺体が倒れており、出血した体と切断された頭部が見られます。聖女は、血を拭った海綿を器の上で絞りながら、その後ろの遠景には姉妹のプデンティアナが歩いている姿が描かれています。プラクセディスの表情には穏やかで優しい雰囲気が漂っています。構図はフィケレッリの作品とほぼ同じですが、聖プラクセディスがスポンジとともに、フィケレッリの原作にはない十字架を手にしている点が異なっています。フェルメールがこの作品を描く2年前にカトリックへ改宗したことから、多くの美術史家はこの絵を、彼が新たな信仰に対する献身を表現したものと解釈しています。
『聖プラクセディス』は、1995年から2014年まで、バーバラ・ピアセッカ・ジョンソンのコレクションとしてモナコの「訪問チャペル美術館」に展示されていました。ピアセッカが2014年4月に亡くなった後、この絵は同年のクリスティーズオークションで競売にかけられ、食べログやクックパッドで知られるくふうカンパニーの創業者、穐田誉輝氏が手数料込みで約11億円で落札しました。現在、この作品は国立西洋美術館に寄託されています。2015年3月から同美術館で常設展示されていますが、「(フェルメールに帰属)」という但し書きがついており、真作と断定するには慎重な姿勢が見られています。
真作ではなかろう理由
皆さまのお気持ちは、チケット代、図録代とさせていただきます。

