映画感想 『花様年華 4Kレストア版』 (★★★)
1962 年の香港を舞台に描く、既婚男女の密やかなラブストーリー。ウォン・カーウァイ監督 2001 年公開作の 4K レストア版を劇場鑑賞。
登場する度に変わるマギー・チャンのチャイナドレスの美しさ。家主とキッチンを共有するアパートメントという、濃密な空間の面白さ。再三登場する九龍の路地の風情。
BGMとして流れる中国歌謡やラテン歌謡、そして『夢二のテーマ』が醸す、圧倒的なノスタルジー。
時間の経過を明らかにしないまま、ただただ点描されるされカットの積み重ね。時に「二人の練習」と称して繰り返される同じシーン。終盤になって感じる、え、これで一年だったの?という驚き。
そして最後は、彼の地まで連れて行かれて呆然。
タイトル『花樣年華』は、「人生でいちばん美しかった、もう戻らない年月」といった意味か。今の香港を思うと、なおさら物悲しく感じられる。
観終わって、ああ、二人のモラトリアム性を、香港という土地のそれに重ねているのだなと気づく。あるいは、婚姻関係が共産主義で、不貞な関係が自由主義か...。
それはさておき、もうずっと目と耳が心地よい、極上の映画体験。マイ・オールタイムベスト級の傑作。

(評価は、無星 / ★ / ★★ / ★★★)
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