厳しい船出
やっぱり、厳しい職場だ。
うつ病で休職して2年と1ヶ月弱経った今日、復職初日を迎えた。いつものように2回の中途覚醒を起こしながらも、普通に起きるのには十分な睡眠は取れた。
トライアルと同じように準備しても水筒を忘れかけるのを奥さんにフォローされる。この3年間本当に心配をかけた。昨晩寝る前に自然と謝罪と感謝の土下座をしていた。
通勤はトライアルと全く同じ。
定時出社になるよう若干の時間調整をし、入場ゲートを通る。
懐かしい打刻機の音。
エレベーター。
フロア。
上司を見つけた。
と思ったら、部長級の上層部の面々に囲まれる。
判を押すように「無理をするな」とニコリ。
席には新品ノートPC。
ちっさ!昔プライベートで使ってたノートに似たサイズだ。
テレワークに適したサイズかもしれないけどテンキーがなくUSBも少ない。テンキーくらい買おうかな。
2年という月日は人の外見を変える。
特に50代の方で顕著だ。
白髪、中年太り、目つき。
穏やかな部署所属ほど目が穏やかになっていた。
最もお世話になった元上司がニコニコして鋭く突っ込む。
「某社に数人行ったらしいけど、お前は行かないよな?」
「さあ、どうでしょうか(お見通しだ!)」
「やめな、そのうち別商品に異動アシストしてあげるから」
それならまんざらでもない。
なるべくアピールしよう。
PC設定を進める。
所属は未だに「休職者」。しかし、復職指示書は出ているし、庶務さんに確認するとシステムによって対応もマチマチ(現所属復帰のタイミング)とのこと。一番困るのは業務関係のストレージのアクセス権限が一番最後になりそうなこと。まじか。
途中で上司に呼ばれる。
仕事はAさんの舎弟と聞いていたが、違った。
AさんとBさんと上司、3人の舎弟らしい。
しかもプロジェクトは同一。
ということは、同時に炎上するリスクを抱える。
上司からはしきりに「勉強」と言われ続けたが、僕を将来どうしたいのかわからない。
火消しの遊撃部隊をやれとでも言うのか?
さすがに最初なので突っ込むのは止めたが、モチベーション人間にニンジンがぶら下がらないのは辛い。
僕は「目標達成」の為の具現化が得意。
火消し役は経緯を知っていればマシだが、パニックになりやすい。
このとき、メンタルが保つか一抹の不安を覚えた。
昼休みは食堂へ。相変わらずの混み具合だが、全体的にメニューのインフレを感じる。世知辛い。
午後から係の週ミーティングで挨拶をする。
本当は週1で顔を合わせるために行かなければいけないのだけど、車が運転できない制約で本社からリモート参加を許されている。
終了後、先輩からCADを使えるようにしてくれと指示があった。専用端末がなくなったのでリモートでつなぐ必要があるが、なぜかそのソフトインストールにテレワーク許可申請が必要という謎ルールが適用される。
しかも部長承認だ。
さらに、以前申請ミスが多く、「大丈夫だよね!?」と上司からフォローがくる始末。知らんがな!できるチェックはしたわい!と返す。
しばらくして他部署の先輩に肩を叩かれ、売店へ。復職祝いにバナナスムージーを奢ってもらった。
気にかけてもらえるのは感謝のひと言だ。
さらに別の先輩からも「復帰おめでとう」とチャットが来た。相棒的な先輩だったので嬉しい。
そんなこんなで明日言い渡されるであろう仕事の中身を聞いたが…これ隣の係の仕事じゃね?何でうちなのか?好意でやるならまぁいいけど、理解せずにやっていたらなんのこっちゃ?となる。
こんな案件が本当に多い。組織上の弊害。早く何とかしてほしい。上がれる目がなくなった以上は。
そんな中、ある人物のとんでもない野望を聞いてしまった。
それはいくら何でも自分勝手だ。許されるものではないと思うのだが、一体どうなんだろう?
定時になり、家路につく。
トライアルのほうが集中力を使っていたので疲労感は少ないが、多くの人と会ったり現実を思い知ったりして、プロジェクトの進捗に爆弾を抱えることをより強く感じた復帰初日だった。
どうやら、例の元上司にはまだ復帰したことは伝わっていないようだ。
