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kind_37
短い話でコニシさんを羨ましがらせてみよう
それは帰り際に突然起こった。
「〇〇さん!」
ん?聞き覚えがないのに僕を呼ぶ女性の声が。
振り向くと、僕の復職とほぼ同時に前職場に入った派遣さんだった。彼女、普段は試験場勤務なのでほとんど顔を合わせたことがないのに!
「は、はい。何でしょう?」
「糊を持っていたら貸してもらえませんか?」
お安い御用である。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
たったこれだけ。
でもいいのだ。前職場のメンバーは何人もいるのに、少し離れた席でオンラインミーティングくらいでしか見たことのない僕を覚えていて、声をかけてくれただけで嬉しい。
男はかくも単純な生きものである。
