第4回: 全銀システムの先へ——新決済システムとオンチェーン金融はどう接続するのか
オンチェーン金融の議論は、とかくトークンの側から語られます。しかし日本には、半世紀にわたり銀行間送金を支え、即時振込を世界に先駆けて実現した全銀システムという巨大な既存インフラがあります。トークン化預金やステーブルコインの未来を考えることは、この既存レールと新レールの接続設計を考えることに他なりません。
新決済システムという文脈
全銀ネットでは、次の時代の決済基盤に関する検討が公表されています。論点として公開資料から読み取れるのは、ISO20022への対応、稼働時間の拡大、そして多様な決済主体・新技術との接続性です。提言が描く「24時間365日・プログラマブル」な金融は、新レールを別に作れば済む話ではなく、既存の銀行間決済網がどこまで進化するかと表裏一体です。
接続の3つの設計問題
①メッセージの互換性。 トークン化預金(TD)の移転指図と既存の振込電文は、含む情報も構造も異なります。ISO20022という共通言語は、この二つの世界を翻訳可能にする鍵です。FATF勧告16改訂が求める構造化データ(第6回参照の送金人・受取人情報)も、この文脈で読むべきです。
②最終決済との階層。 どんなトークンの移転も、銀行をまたげば最後は銀行間の資金決済に行き着きます。日銀当預のトークン化(第3回)と新決済システムの検討は、独立した2つの話題ではなく、同じ階層構造の上下です。
③二重投資の回避。 提言も指摘する通り、既存システムと新インフラの両方は、共に公共性の高い社会インフラであり、膨大な二重投資になり得ます。「どちらかが勝つ」ではなく「どう役割分担して共存するか」の設計こそが、日本の決済アーキテクチャ最大の論点だと私は考えています。
実務者への示唆
TD/SCの企画を考える方は、トークンの仕様書より先に、自社の全銀・日銀ネット接続の現状図を描くことをお勧めします。新しいレールの価値は、古いレールとの接続点の設計で決まります。
出典: https://www.zengin-net.jp/zengin_net/pdf/260319_summary_SGreport.pdf
