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【介護を考える】<⑦介護保険制度改革>「NO」と言えずに泣き寝入り?すべての利用者に「権利の盾」を。



「本当は、あのお風呂の時間は苦手なんだけど…我慢しなきゃね」
「このオムツ交換、少し乱暴に感じるけど…文句を言ったら、嫌がらせされるかもしれないし…」

介護の現場で、私は何度、こうした高齢者の小さな溜息と、諦めの表情を見てきたことでしょう。
彼らは、決してサービスの対価を払っていないわけではない。
尊厳ある一人の人間として、質の高いケアを受ける「権利」があるはずなのに、なぜ、こんなにも声を上げることが難しいのでしょうか。

その理由は、驚くほどシンプルです。
今の日本には、介護を受ける人の権利を、明確に文章で定めた法律が存在しないからです。


◆ルールブックなきリングで戦わされる高齢者たち


考えてみてください。
商品を買えば、クーリングオフの権利がある。
会社で働けば、労働者の権利が法律で守られている。

しかし、人生の最終コーナーで、最もか弱く、助けを必要とする人々の「権利」を保障する、統一されたルールブックが、この国にはないのです。

「暴言をやめてほしい」と訴える権利。
「このサービスは自分に合わない」と拒否する権利。
「もっと別の施設を探したい」と自由に選択する権利。

これらが法律で明文化されていないため、何か問題が起きても、それは「個人のわがまま」や「事業所との相性」の問題として片付けられてしまう。
結果、多くの高齢者やその家族が、声を上げることを諦め、「泣き寝入り」するしかない状況に追い込まれているのです。


◆理想は「介護サービス利用者権利法」の制定


この理不尽な状況を終わらせるために、私たちが目指すべきは「介護サービス利用者権利法」のような、権利章典の制定です。

これは、利用者とサービス提供者が、対等なパートナーとして信頼関係を築くための、最低限のルールブックです。
そこには、例えば以下のような権利が、はっきりと記されるべきです。

  • 尊厳を守られる権利: 暴力、暴言、ネグレクト(介護放棄)など、いかなる形の虐待も受けない。

  • 自己決定の権利: 提供されるサービスについて十分な説明を受け、自らの意思で選択し、拒否することができる。

  • 不服を申し立てる権利: 提供されたサービスに納得がいかない場合、不利益を被ることなく、正式に苦情を申し立て、調査を求めることができる。

  • 自由な選択の権利: 事業所や施設を、自らの意思で自由に選び、変更することができる。

  • 助けを求める権利: 事業所内部だけでなく、中立的な第三者の相談窓口に、いつでもアクセスできる。


◆「権利」は、職員を守る盾にもなる


この法律は、決して事業者や介護職員を追い詰めるためのものではありません。
むしろ、私たちプロフェッショナルを守るための「盾」にもなるのです。

明確なルールがあれば、「利用者の権利」と「理不尽な要求」との線引きができます。
私たちは、法律という根拠に基づいて、言うべきことは堂々と言えるようになる。
それは、介護職の専門性と尊厳を守ることにも繋がります。

権利が保障されてこそ、信頼が生まれる。
信頼が生まれてこそ、質の高いケアが実現する。


もう、誰かの我慢や犠牲の上に成り立つ介護は、終わりにしませんか。
すべての利用者が、そして私たち介護を提供する側も、安心して笑顔でいられる未来のために。
この「権利の盾」は、絶対に必要です。



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