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職場で感情に寄り添う事

職場で他者と一緒に働く上で、他者とどのように向き合うかは難しい問題です。

「相手の立場で物事を考えること」
「相手の言葉に耳を傾けること」
「相手への感謝を言葉で伝えること」

私たちは、これらについて、小さい頃から大切なことだと教わってきました。

一方で、特に上司-部下の関係性の中で、部下の感情に寄り添い過ぎてしまうことで、チームが機能しなくなることも起こりえます。

仕事をする上で、他者の感情とどう向き合うのかについて、考えてみたいと思います。


感情とは短期的な因果関係

働く上で、誰しも、苛立ったり、不安になったり、やる気になったり、やる気を失ったり、楽しんだり、悲しんだり、怒ったり、といった様々な感情を持ちます。

感情とは、短期的な因果関係ではないでしょうか。

空腹だから、苛立つ
成果が出ないから、不安になる
上司に褒められたから、やる気になる
仕事でミスがあって、落ち込む

本人の中では、複合的な要因で感情が沸き上がっていることが考えられますが、私たちは他者の感情を短期的な因果関係の中で理解します。

他者の感情に寄り添うとは、この短期的な因果関係を理解し承認しようとする行為です。

そのために、私たちは他者の日頃の言動の中で変化を捉えて、相手との会話の中で答え合わせをしていくことで、他者の理解を深めていきます。

他者からの承認がもたらす効果

他者の感情に寄り添うこと、これは他者の短期的な因果関係を、理解することになります。

「あなたは、こういったことが起こったから、不安になっているんだね」

このような会話を他者と共有することは、一つの因果関係を他者との間で共有すること、その因果関係を承認することに繋がります。

この承認が他者にもたらす効果としては、下記が想定されます。

  1. 自己肯定感の向上: 他者からの承認を受けることで、自己肯定感が向上します。自分の価値や能力を肯定的に評価されることで、自信を持つことができます。

  2. モチベーションの向上: 他者からの承認は、自分の努力や成果が認められたと感じることができるため、モチベーションの向上につながります。目標に向かって努力する意欲が高まります。

  3. ストレスの軽減: 他者からの承認を受けることで、孤立感や不安感が軽減されます。周囲の人々との良好な関係が築かれ、心理的な安定感が得られます。

  4. 社会的結びつきの強化: 他者からの承認を受けることで、社会的な結びつきが強化されます。周囲の人々との良好な関係が築かれ、支援や協力を得やすくなります。

  5. 自己成長の促進: 他者からの承認を受けることで、自己成長が促進されます。他者からのフィードバックや指導を受けることで、自分の弱点や改善点に気づくことができ、成長する機会が得られます。

このような点を踏まえると、感情に寄り添うことは、良いことばかりに感じます。

感情に寄り添うことが成長を阻害する可能性

感情に寄り添うことは、短期的な因果関係を理解し、承認することだと考えましたが、この行為は、上司/部下の関係性において、時に以下のようなデメリットを発生させます。

  1. 適切な距離の維持が難しい: 感情に寄り添いすぎると、仕事上のプロフェッショナリズムが損なわれる可能性があります。感情的に深く関わりすぎることで、適切な距離感を失い、個人的な関係が仕事に影響を及ぼすことがあります。

  2. 判断が曇る可能性: 感情に寄り添いすぎると、客観的な判断が難しくなる場合があります。感情的に関わっていると、客観的な視点を失い、偏った意思決定をしてしまう可能性があります。

  3. ストレスや負担の増加: 感情に寄り添うことは、しばしばストレスや精神的な負担を増加させる要因となります。他者の感情的な問題に関わることで、自身もストレスを感じたり、負担を抱えたりすることがあります。

  4. 時間とエネルギーの消耗: 感情に寄り添うことは、時間とエネルギーを消費する傾向があります。他者の感情的なニーズや問題に対処するために、時間やエネルギーを費やす必要があります。これが仕事の効率やパフォーマンスに影響を与えることがあります。

  5. バランスの難しさ: 感情に寄り添うことは重要ですが、バランスが難しい場合があります。他者の感情に過度に関わりすぎると、自身のニーズや目標を犠牲にすることがあります。

特に上司/部下の距離感において、感情に寄り添うあまり、ルールを守れない部下のことを許容してしまうことや、目標に対する部下の出来ない理由を許容してしまうことが、部下の成長を阻害することがあります。

怒ったり、苛立ったり、悲しんだりといった負の感情を見せると、上司が配慮してくれる

上司の部下に対する感情への寄り添いが、このような部下の学習を引き出してしまうことがあり得るのではないでしょうか。

成長を構造として理解すること

感情は短い時間の中での因果関係で引き起こされます。

一方、成長は、一朝一夕ではなく、数カ月や数年といった中長期的な時間の中で引き起こされます。

短期的な因果関係を他者が承認することは、時に、本人が長期的な因果関係へと目を向けることを阻害させてしまうことがあります。

仕事においては成果が求められ、今以上の成果を出すためには、個人が成長する必要があります。

成長とは、出来ないことが、出来るようになることです。

「出来ないこと」を認識することは、自己否定につながり、負の感情を引き起こします。
しかしながら、この負の感情は成長のためには必要なものです。

この成長の構造を踏まえた上で、

個々人の成長のためには、いつまでに、どの程度のことが出来る状態になっていればいいのか

各人のゴールをチームで共有することがない前提で、感情に寄り添った対応を行うと、成果が上がらないチーム状態となります。

感情と成長の構造を両立させるためのマネジメント

中長期的な視点で物事を捉えるためには、経験が必要です。

勉強・スポーツ・趣味・仕事と様々な分野で、中長期的な視点で成長を経験した人であれば、感情と成長の構造のバランスを理解することが出来ます。

今この瞬間「つらい」「くやしい」「腹が立つ」という感情が、未来の自身の成長の喜びに繋がることが理解できれば、この場合の負の感情を自身で処理することが可能となります。

一方、中長期的な視点で成長を経験したことのない人の場合、上記のような負の感情を自身で処理することが難しく、ストレス増やモチベーションダウンから立ち直れなくなることもあり得ます。

仕事において、上司と部下の関係性において、上司は、部下が認識している時間軸を踏まえて、目標設定と感情への寄り添い方を変えていく必要があるのではないでしょうか。

成長の経験が不足している部下について、上司は、部下の感情に寄り添いながらも、一定の限度を超えた成長を阻害する寄り添い方はしない。

経験が十分あり、中長期的な視点で仕事を捉えることが求められている管理者の部下に対して、上司は、感情に寄り添う度合いを少なくし、事実で不足を認識し合い、仕事を進めて行く姿勢で臨む。

感情に寄り添うことが必要とか不必要とか、二元的な回答ではなく、状況に応じた対応が必要です。

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