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詩|卒業のとき

早い桜は もう二月に散ったという
残り一か月の間に答えを出せない私を察したように

机にかかる春の光は移動してゆく 

鞄には忘れていた手紙がある

時間とともに陽は傾き
手紙に残した心も 動いてゆく

陽は机から床に落ち
私の手は拾えない

「さよなら」までが本文だから

最後まで教室の窓を開けておくつもりだった
影が飛んで散るように

夏の思い出とともに

みんながいなくなった後の教室は
最後までぶっきらぼうで
私は切手を 窓から遠くへ投げる
それは風に乗り グラウンドのかなたへ

もう二度と
ここへ戻ることはないように

いつも部活で遅くまで残り
一番最後にドアを閉めていた私の手

最後の日は 開け放したまま
心を預けたまま

未来にいつでも戻って来れるように

遠くにいたとしても 

どこでも


(月刊詩誌『詩人会議』 掲載)

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