知識は「教わるもの」ではない。ピアジェの構成主義という考え方
僕は大学時代に「教育とは発達を促すすべての営みである」と学びました。
個人の学習を成立させる学習論は、この「発達」の捉え方の違いが理論を規定していると考えられ、「知識」の定義によって変遷をしてきました。
前回の「行動主義」は「発達」を「知識の量」と捉えていました。
今回は、「構成主義」という学習論が、発達をどう捉えて、学習をどう定義するのかを説明していきます。
構成主義とは
知識を「一人ひとりが自ら構成するもの」と定義するのが「構成主義」です。この学習理論では、物事の理解の仕方における「質的変化」を「発達」と捉えています。
学習者は教師から一方的に知識を教え込まれるのではなく、学習対象を見て能動的に理解を組み立て、学習プロセスの中で多くの質的変化が生じるとしました。端的に言うと「概念変換」の理論とも言えます。

代表的な理論家:ピアジェ
構成主義の代表的な理論家として「ピアジェ」が挙げられます。ピアジェは発達を「学び方の質的変化」とし、年齢とともに発達すると考えました。
また、学習者が学習対象という「本物」を見て、能動的に知識を構築していくという学習感を持っていました。
同化と調整
ピアジェの理論の概念の中には、「同化」と「調整」というものがあります。

「同化」とは、学習者が持つ既存の概念によって現実社会での現象を理解していく過程のことです。「調整」とは、自分が持っている概念では現象を説明できなくなったときに、概念そのものが変化していく過程のことです。
つまり、学習対象に学習者が能動的に働きかけ(同化)、自分の考えや概念を更新していく(調整)ことを学習と捉えているのが、この理論の特徴です。
例えば、形の異なる2つの容器を見て、体積が大きいのはどちらの容器かという課題があったとします。同化によって水位が高いほうが体積が大きいという概念を持っていた児童生徒は、左のビーカーと予想するでしょう。

そこで、実際に2つの容器の水を同じ大きさの容器に移し替えて容量を測ります。すると、2つの容器も同じ体積であることがわかります。
水位が高いほうが体積が大きいという概念では現象を説明できなくなり、調整を行って概念変化が起こります。
構成主義の疑問点
ピアジェを代表する構成主義では、学習者自身が学習対象を能動的に学び、知識を構成することを前提にしています。しかし、すべての学習対象を学習者ひとりで学ぶことはできるのでしょうか。
また、この理論を学校現場に持ち込もうとすると、学習者は一人で対象の理解に挑むことになり、教師の意義や役割が組み込まれていません。
このピアジェの学習理論を批判し、新たな学習理論を提案したのが「ヴィゴツキー」であり、現代の学校教育の中心とも言える理論です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
構成主義が台頭する前に普及した学習理論が「行動主義」です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
□ この理論を、教室で実践してみませんか?
ピアジェやヴィゴツキーが言う「構成主義」を、 新年度のクラスづくりに活かす実践記事を書いています。 生徒同士が自分の価値観を語り合い、 「違っていい」という空気を教室に立ち上げる活動です。
ヴィゴツキーのZPDの考え方でいえば、生徒が互いの「仲介者」になる瞬間を 意図的に設計するための、最初の一手になります。
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生徒一人ひとりの中にある「価値」を言語化し、それを他者と共有できる“空気”を教室に立ち上げる。学級開きの初期装置。
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