【第1話】『息子の奇跡の軌跡』〜不安よりも信頼を胸に、小さな命と歩んだ日々〜
あの日、2980gの元気な産声と共にこの世に生を受けてくれた息子。
その喜びのすぐ隣には、想像もしなかった「心臓の病気」という試練が待っていました。
20年という月日が流れた今、母として、一人の女性として、あの日々の記憶を紐解いてみたいと思います。
これは、小さな体で何度も大きな壁を乗り越えてきた息子と、彼を支えた家族の、愛と信頼の記録です。
2004年7月5日。
予定していた帝王切開で産まれてきてくれた息子の産声を聞いた瞬間の、「あぁ、良かった…」という心の底からの安堵感。そして、初めて腕に抱っこしたときのあの愛おしさは、今でも鮮明に覚えています。
でも、そんな出産の喜びやお祝いの余韻に浸る間もなく、私たちは突然、目の前が真っ暗になるような現実に直面することになりました。
「少し時間が経ってから、心臓に異常があるかもしれないことが分かりました」
お医者様からそう告げられたときは、一瞬、本当に頭の中が真っ白になりました。
幸いなことに、すぐにあの有名なこども病院へ転院させてもらえることになり、「あそこなら最高峰の先生たちがいる。あそこにお任せできるなら、絶対に大丈夫。先生たちを信じるしかない!」って、すがるような、でも必死に自分を奮い立たせる気持ちで前を向きました。
転院先で先生から言われた病名は、初めて聞く、すごく難しくて複雑なものでした。
「両大血管右室起始症・単心室症」
小さな息子の心臓は、普通とは違う複雑な形をしていて、お部屋が一つしかありませんでした。
これから成長に合わせて、「グレーン手術」や、根治術である「フォンタン手術」という、本当に大きな心臓の手術を何度も何度も重ねていかなければいけない、と丁寧な説明を受けました。
「この病気って、一体どういうものなんだろう?」「何か少しでも、簡単に治してあげられる方法はないのかな…」
そう思うと、もう居ても立ってもいられなくて、母親としてとにかく必死に携帯で調べまくりました。ただ泣いて見守るだけじゃなくて、息子の病気のことをちゃんと知って、この子と一緒に正面から戦うための知識が欲しかったんです。
そんなママの張り詰めた気持ちに応えるように、息子は本当に強い子でした。
産まれてまだ間もない、あの小さくて細い体で、初めてのしんどいカテーテル検査もしっかりと乗り越えてくれたんです。
そして8月。
長かった最初の1ヶ月間の入院生活を終えて、ついに、無事に我が家へ退院できる日がやってきました!
それまでは、毎日毎日、病院へ会いに行ってはバイバイして…の繰り返し。
「やっと、自宅から病院へ会いに行く生活が終わるんだ…!」
パパと二人で、「本当に良かったね、お家に帰れるね」って、心の底からホッとして、嬉しくてたまりませんでした。
病院からの帰り道、まずはパパの方の実家へ寄って、「無事に帰ってきたよ!」ってみんなに元気な顔を見てもらいました。そのあと、私の実家にも報告を済ませて、ようやく自分たちの我が家へ。
家では、お姉ちゃんのNちゃんが首を長ーくして待っていました。
待ちに待った可愛い弟の登場に、Nちゃんは大喜びで大はしゃぎ!
その無邪気な姿を見たとき、「あぁ、やっとここから、私たちの賑やかで愛おしい家族の日常が始まるんだな」って、胸の奥がじんわり温かくなって、小さくても確かな希望の光がパッと灯ったのを覚えています。
(第2話へつづく)
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