#55 蕁麻疹ジャブ
2週間ほど前から、両腕に原因不明の蕁麻疹がでるようになった。
寝る前になると、とにかく痒い。
そして掻きだすと、止まらない。
掻けば小さなブツブツは赤みと熱を帯びて広がり、さらに痒みが増す。
最初は「季節の変わり目だし、そのうちおさまるでしょ」くらいに思っていたのだが、日を追うごとにひどくなる。
さすがに2週間も続くと、私も気付いた。
「あ、これ、ストレス性ってやつかも」
*
私は過去2回、急性胃腸炎により救急車で運ばれたことがある。
そのときはアパレル企業に勤めていたときで、とにかく売上を上げようと必死だった。社畜……いや自ら望んでブラックな働き方をしていたのである。休みを取らず半年間、毎日フルタイムで出勤していた。
「月の売上が落ち着くまで」
「売場の導線が決まるまで」
「新人スタッフ教育がひと段落するまで」
「エリアで前年比1位をとるまで」
昇進をかけて命を削って働いていた私が、上記を全てクリアするのに要したのが6ヶ月だった。
そして6ヶ月ぶりに休みを取った日の午後に、事件は起きる。
友人と一緒に訪れた久留米ゆめタウンのトイレで、猛烈な吐き気と腹痛に襲われ、救急搬送された。
診断結果は、急性胃腸炎。食あたりでもなんでもなく、はっきりした原因は分からないとのことだった。
案の定、医者からは「ストレス性でしょうねえ」で片付けられた。
正直なところ、私は仕事をストレスに感じていなかったため、腑に落ちなかった。しかし同行していた友人から「ねえ、いい加減さ、ちゃんと休みなよ」と言われ、ああストレスを溜めるってこういうことなんだ、とようやく自覚する。
どうやら私の脳は「満腹中枢」ならぬ「ストレス認識中枢」が壊れているようなのだ。
つまりストレスを感じたとて、脳がそれをストレスと認識できず、無理を重ねるから、身体が悲鳴をあげるといったしくみである。
私は仕事に関して、どんなに疲れていてもストレスに感じない。それどころか、ストレスよりも自分の『好き』や『責任感』の比重が勝り、ストレスの原因となる事象までも、ぎゅうううっと抱きしめて「よしよし」してしまう。
このように脳がアテにならなくなった私の身体は「おめーさ、これ以上無茶すっと、ぶっ壊れるぞ」と孫悟空の口調で私を叱り、それを聞かない私に急性胃腸炎という名のストップをかけてくるのだろう。
そこで冒頭に戻り、今回の蕁麻疹が本当にストレスなのか検証するため、最近の自分を振り返ってみた。
本業の引き継ぎ、転職活動、コンテンツ(noteやスタンドエフエム)作り、副業のクライアントワーク、長男のサークル活動、長女の体調不良、父親の入退院、母の認知症のサポート……
ほうほう、可視化するとなかなか。どうやら私の身体は参っているらしい。
しかし脳内は分かっていない。
「8月から新しい職場になるし、こうやってnote書くの楽しいし、スタエフで喋るの好きやし、クライアントワークはもっと取材記事を提案したいし、長男のサークルの代表だって推薦されたらやらなきゃだし、長女とも向き合ってイキタイsi、、、」
このように理想像がどんどん溢れてくる。24時間じゃ全く足りないし理想の自分に追いつけない。
しかし本日、とうとう両足の膝下と顔面にも蕁麻疹がでてきてしまう。
加えて湿疹の広がるスピードが異常に速い。
私は、ここでやっと落ち着いて自分の身体と向き合った。
おそらくこのまま蕁麻疹ジャブを無視し続けると、例のごとく急性胃腸炎へ誘われてしまう。
ということで(泣く泣く)7月1日の本日から、蕁麻疹がおさまるまで、以下のようにワークバランスを見直すことにした。
・このnoteの平日毎日更新は一旦6月でストップ
・7月から、サボっていた毎朝のラジオ体操を再開し、朝読書の時間を設け、心と身体を整える
・新規のクライアントワークはストップし、既存クライアントのみに注力。さらに記事本数も増やさない
・子育てに絡む負担は、フルに有給を使って休みを取り、ちゃんと体を休めながら向き合う
・両親に絡む負担は、妹にも協力してもらう
上記に切り替えて、自分の睡眠時間をしっかり確保する。
そして身体と脳を休ませる。
あのころと違って、3人の子供と生活している今、胃腸炎で倒れるわけにはいかない。
しかしこの状況を悲しむのではなく「私、蕁麻疹がでるほど頑張れてるんだな」というなんともアホな自己肯定感が生まれているのも正直なところ。
こんな思考回路だから、おそらく人生であともう2回くらい救急車に乗せられないと、ストレス認識中枢欠損は治らないんだろうな……なんて、左足の蕁麻疹を掻きながら考えていた。
