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プロセスはあるのに、なぜ回らないのか──週1の意思決定という条件

(約 3000 字)


事業のことを考えるとき、つい売上や利益を見ている気がします。
もちろん数字は大切です。数字がなければ、継続も投資もできない。

でも同時に、もう一つ大切なものがあるはずです。
それは「お客様に価値が届いているか」ということ。

買ってよかった。
次も買いたい。
価格以上の価値がある。

そう感じてもらえる体験が、ちゃんと積み上がっているか。

ここで少し厄介なのは、多くの会社にはすでに「プロセス管理」があることです。
手順も、会議も、指標もある。

それでも、うまく回っているとは言いにくい。

私が最近いちばん気になっているのは、
その差がどこで生まれるのか、という点です。

たぶん鍵は、肩書きではなく運用にあります。

“一本線のオーナー”がいて、週1で意思決定が起きるか。
起きないか。

今日はその話を書いてみます。


なぜ「数字」を見ているのに、価値が痩せていくのでしょうか?

売上や利益は大事です。

ただ、「結果」を見ているだけだと、
「原因」に触れにくいことがあります。

特にITシステム導入では、
導入が終わった“後”に効いてくるものが、じわじわあります。

  • 導入までがスムーズだったか

  • 運用が安心して回るか

  • トラブル時の説明が誠実か

  • 同じ問い合わせが繰り返されないか

こういう体験が積み上がると、お客様は言葉にします。

「買ってよかった」
「次も買いたい」
「価格以上の価値がある」

数字を守りたいからこそ、
私はこの体験のが重要なのではないかと思います。


なぜ、プロセスは「ある」のに回らないのでしょうか?

プロセスが回らないとき、
起きがちなことはだいたい3つだと思っています。

1) 目的がズレる(結果は見ているが、原因が見えない)

KPIが売上や利益など“結果”中心になると、現場は動きにくくなります。

「悪いことは分かる。
 でも、次に何を変えればいいかが分からない」

そんな状態になりやすいです。

2) 一本線の責任が曖昧になる(部門ごとには責任がある)

IT導入は、営業・SE・サービスなど複数部門が関わります。

それぞれ正しい。
でも、顧客体験としては「つながり」が弱くなる瞬間があります。

3) 運用が止まる(更新されない/決めない)

資料がある。会議もある。

でも「見て終わる」になると、プロセスは形骸化しがちです。
存在しているのに、効いていない。


「お客様視点の一本線」とは、具体的にどんな形でしょうか?

営業→SE→サービスという社内の連携は、もちろん現実としてあります。

ただ、お客様から見れば、その境界は基本的に見えていません。

良い体験も、嫌な体験も、
全部まとめて「この会社」の評価になります。

「営業さんは良かったけど、運用が不安だった」も、
「導入はスムーズだったけど、問い合わせがつらかった」も、
結局は“会社としての体験”として記憶されます。

だから、改善の議論をするときは、
部門ごとの正しさよりも、お客様の時系列=一本線で見た方がよい。

そういう感覚があります。

一本線は、部門の順番ではなく、
あくまで「体験の順番」で引いておきたいと思っています。


ITシステム導入を「一本線」にすると、どう見えるのでしょうか?

ITシステム導入(BtoB)でも、流れとしてはだいたいこういう形になります。

例:導入〜運用までの一本線(お客様の体験順)

  1. 相談・課題ヒアリング
     お客様:「何ができる?どこまで任せられる?」

  2. 提案・見積・要件すり合わせ
     お客様:「追加費用や前提条件はどこ?」

  3. 受注・契約・キックオフ
     お客様:「体制・スケジュール・責任分界は?」

  4. 設計(要件確定)
     お客様:「この条件で本当に動く?」

  5. 構築・設定・連携テスト
     お客様:「現場の運用に入ると何が起きる?」

  6. 教育・引き継ぎ(運用立ち上げ)
     お客様:「誰が、何を見れば運用できる?」

  7. 検収・本番移行
     お客様:「この状態を“受け取り”とみなしていい?」

  8. 運用・保守(平常時)
     お客様:「困った時に、どこへ連絡すればいい?」

  9. 問い合わせ・障害対応(非常時)
     お客様:「対応は早い?説明は誠実?」

  10. 再発防止・改善(次に活きるか)
     お客様:「同じことが起きない?」

  11. 更新・追加導入(次も買いたいに繋がるか)
     お客様:「この会社に任せ続けて大丈夫?」

この一本線を置くだけで、議論の主語が揃いやすくなります。

「部門がどうか」ではなく、
「体験のどこで詰まっているか」に寄っていくからです。


一本線を“回るもの”にするには、何が必要でしょうか?

一本線があっても回らないとき、足りないのはだいたいこれです。

次工程に進むための条件(入口条件)が曖昧になっている。

入口条件は「成果物」と言ってもいいです。

“これが揃っていないなら次工程に進めない”を置くと、
詰まりが見えるようになります。

IT導入なら、たとえばこういう成果物が該当しやすいです。

  • 要件定義書(決めたこと/決めてないことが明確)

  • 構築手順(誰がやっても同じ結果に寄る)

  • 検収チェック(合格条件が事前に揃う)

  • 引き継ぎメモ(運用で迷わない最低限の情報)

ここで大事なのは、立派さよりも「線引き」です。

最初から完璧にしない。
まずは“次に進む条件”を1つ置く。

それだけで、改善の土台ができます。


“一本線のオーナー”は、具体的に何をする人なのでしょうか?

この話の核心です。

“一本線のオーナー”は、肩書きの有無よりも
「週1で意思決定が起きるか」で生死が決まる

そして、その意思決定は誰かを責めることではなく、
入口条件(成果物)を1つ変える決定だと思っています。

たとえば、こういう小さな決定です。

  • 引き継ぎメモのテンプレを作り、必須にする

  • 検収チェックの項目を3つだけ増やす

  • 古い手順書に「更新期限」を付ける

  • 仕様確認の観点を1枚にまとめ、提案段階で必ず通す

小さいからこそ、週1で回せます。

週1で回るからこそ、プロセスが“生き物”になります。


会議を「報告会」から「改善会」に変えるにはどうすればいいのでしょうか?

私は、会議の入力と出力を絞るのが現実的だと思っています。

入力(見るもの)は、2枚でいいです

  • 1枚目:どこに溜まっているか(工程別滞留)

  • 2枚目:なぜ燃えるか(原因タグ/再発トップ/自社起因割合)

決めることは、1つだけでいいです

  • 今週変える「入口条件(成果物)」を1つ

出力は、3行で十分です

  • 今週変える1点

  • 担当

  • 来週の確認観点(滞留/手戻り/再発がどう動いたか)

この型にすると、会議が“報告”では終わりにくくなります。

理由は単純で、
「変える」前提になるからです。


最初の1ヶ月は、何を捨てて何を残すべきでしょうか?

最初の1ヶ月は、足し算より引き算が大事だと思っています。

捨てる(後回しにする)もの

  • KPIを増やすこと

  • 立派なツール導入

  • 完璧な標準化

残すもの

  • お客様視点の一本線

  • 入口条件(成果物)を工程ごとに1つ

  • 週1更新できる粒度

  • 週1で意思決定を1つ起こすこと

この4つが残るだけで、
「あるのに回らない」状態から抜けやすくなります。


明日からの最小の一歩は、何でしょうか?

最後は行動に落としたいです。
大きくやらなくていいです。

  • あなたの現場の“一本線”を、1行で書いてみる

  • 工程を1つ選んで、入口条件(成果物)を1つ決める

  • 来週の会議で「今週変える1点」を決めてみる

たったこれだけでも、空気が変わることがあります。

「見て終わる」から「変える」へ。
足が一歩前に出るからです。

いちごいぬ🐶


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