見出し画像

生成AIと議論するとき、「最後の区切り線の下」を読まないようにしている話

(約 2000 字)


生成AIを使うようになってしばらく経ちますが、
最近になって、ひとつの癖のようなものに気づきました。

私は、生成AIと議論したいとき
いつのまにか回答の最後まで読まないようになっていたのです。
正確に言うと、最後の区切り線の下に書かれている
「次はこうしてみませんか?」
「この観点で考えるとどうでしょう?」
といった次の提案部分を、意識的に読まなくなっていました。

最初から決めていたわけではありません。
「あれ、最近ここ読んでないな」と、
後から気づいた感覚に近いものでした。

振り返ってみると、それは単なる読み方の癖ではなく、
思考の姿勢そのものに関わる話だったのだと思うようになりました。



なぜ私は、生成AIの「区切り線の下」を読まなくなったのか?

生成AIの回答は、とても親切です。
論点を整理し、前提を示し、可能性を並べ、
最後に「では次はこうしましょう」と道筋を示してくれます。

けれど、その最後の提案を読むと、
自分の中で、ある変化が起きていました。

考えているつもりなのに、
思考の向きが、すでに決まっている。

結論に完全に納得していなくても、
「次に考えるテーマ」
「深掘りする方向」
が、いつのまにかAIの提示した方向に寄ってしまう。

誘導されていたのは、
答えではなく、問いの方向だったのだと思います。


AIの「次の提案」は、なぜ思考を引っ張るのか?

これはAIが悪い、という話ではありません。
むしろ逆で、AIの提案はとてもよくできています。

  • 論理的

  • 整理されている

  • 納得しやすい

だからこそ、人は自然に乗ってしまう。

問題になるのは、その提案に触れるタイミングです。

自分の中で問いが固まる前に、
「次はこれを考えましょう」と示されると、
思考はそこに流れ込みやすくなる。

結果として、

考えてはいるけれど、
考え始めた場所が、
すでに他者の設計した地点になっている。

区切り線の下を読まない、という行為は、
この流れを一度止めるためのものだったのだと思います。



「最後の区切り線の下」を読まないとは、思考を放棄することではない

私はAIの情報を拒否しているわけではありません。

最後の区切り線の、つまり

  • 論点整理

  • 前提の明示

  • 視点の提示

は、むしろ積極的に読みます。

けれど、

「次はこう考えるとよい」
「この方向で進めてみましょう」

という部分だけは、読まない。

それは、
判断のタイミングを
自分の側に残しておきたいからです。

一度立ち止まり、
「ここまで読んで、私は何を考えたか」
を自分に問い返す。

その余白が、私には必要でした。



なぜ私は、英語のように主語と述語を書くのか?

同じ頃、もうひとつの癖にも気づきました。
生成AIと議論するとき、
私は無意識に、主語と述語、目的語などをはっきり書くようになっていたのです。

日本語では、主語を省略しても会話が成立します。
便利ですが、その分、

誰が、何を考えているのか
曖昧なまま話が進みやすい。

英語では
I think / I assume / I question
のように、思考の主体を明示する必要があります。

主語と述語を明確に書くことは、
AIへのインプットを正確にすること。
すなわち、AIのアウトプットを正確にすることにつながります。

「私は、こう考えている」という立ち位置を定めてから対話すると、
AIの整理や補足を、補助として受け取れるようになります。



これはAI特有の話なのか?

考えてみると、これは生成AIに限った話ではありません。
人間同士の議論でも、同じことはよく起こります。

話がうまく、論理が整っている相手と話していると、
こちらの問いが十分に共有されないまま、
相手の理解や整理の枠組みで話が進んでしまうことがある。
(特にディベートが上手な人には要注意です)

その結果、
「何を論点にしたかったのか」
「どこが未確定だったのか」
が、途中で曖昧になってしまう。

生成AIはそれを、

感情を交えず
圧をかけず
とても丁寧に

行う存在です。
だからこそ、こちらの意図が少しずれていても、
そのまま“それらしい議論”が成立してしまう。

人間相手でも同じで、
議論をきちんと成立させたいときほど、
私は英語のように主語と述語をはっきりさせて話すようになります。

それは自分を守るためというより、
相手に「私は何を論点にしているのか」を正確に伝えるためです。

「私はここが分からない」
「私はこの前提にはまだ納得していない」
「私はこの点だけを議論したい」

そう明示しないと、
議論そのものが、別の場所へ流れてしまう。

生成AIとの対話で起きていることは、
人との議論を、
極端に静かで、極端に整った形で再現しているだけなのかもしれません。



おわりに

生成AIと議論するとき、
私が大事にしているのは、効率でも正解でもありません。

・区切り線の下を読まない
・主語と述語を曖昧にしない
・すぐに「次」を決めない

それはすべて、

考えるという行為を、
自分の側に残しておくため。

次に生成AIと対話するとき、
もし少し余裕があれば、
区切り線の前で一度、立ち止まってみてください。

その沈黙の中に、
あなた自身の問いが残っているかもしれません。

いちごいぬ🐶


#生成AI #思考の主導権 #AIとの対話 #問いを立てる #考えるとは #言語化 #内省 #テクノロジーと人間


こちらの記事もオススメです💁


スキ、フォローしてもらえるとありがたいです☺️

いいなと思ったら応援しよう!

いちごいぬ ゆるこみの活動に賛同いただけましたら、応援いただけると大変励みになります! その一歩で、ゆるやかなつながりを育てていきます 🍀