㉒ 解除①(要件)
「約束を守ってくれないなら、
もうこの契約は終わりにしたい。」
債務不履行の流れの中で、
『契約を解除できるのはどんな時か?』
これも、とても重要です☆
そこで今回は、
「相手が約束を守らなかったら、
すぐに解除できるのか?」
「解除する前に、
何かしなければならないのか?」
という話です~~~ ♫
民法は、
相手が少しでも契約違反をしたら、
何でもかんでもすぐ解除できる、
という訳ではありません。
ここで出てくるのが、
①催告による解除
②催告によらない解除
③軽微な不履行。この3つです。
催告による解除とは、
相手に対して
「期限までにちゃんと履行してください」
と求めたのに、
その期限までに履行されなかった場合に
契約を解除できる制度です。
一方で、
もう履行が不可能だったり、
相手が明確に履行を拒絶したり、
その日に履行されなければ
契約の目的が達成できなかったりする場合、
催告をしなくても
解除できることがあります。
ただし、
契約違反がほんのわずかで、
契約全体から見て軽微な場合には、
解除できません。
つまり、解除では、
「催告が必要か?」
「催告なしで解除できる場合か?」
「契約違反は軽微ではないか?」
ここを見ていきます~~☆
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
①ミニ演習(事例問題)
第1問
AはBからパソコンを購入し、
代金も支払いました。
しかし、約束の日になっても
Bはパソコンを引き渡しません。
そこでAはBに対して、
「1週間以内に引き渡してください」
と催告しましたが、
1週間経っても引き渡されませんでした。
Aは契約を解除できるでしょうか?
第2問
AはBから商品を購入しました。
しかしBは履行期の前に、
「この商品は絶対に渡しません」
とはっきり伝えました。
Aは、あらためて催告をしなければ
契約を解除できないでしょうか?
第3問
歌手Aは、
Bの結婚式当日に歌う契約をしました。
しかしAは結婚式当日に現れず、
翌日になって、
「今日なら歌えます」
と連絡してきました。
Bは催告をしないで
契約を解除できるでしょうか?
第4問
AはBから注文した椅子を受領。
しかし椅子の裏側に、
使用には全く影響しない
小さな傷がありました。
Aは、その傷を理由に
当然に契約を解除できるでしょうか?
第5問
AとBの契約で、
Bに契約違反がありました。
しかし、その違反は
契約全体から見るとごく僅かで、
Aは契約目的を十分達成できます。
Aは契約を解除できるでしょうか?
②正解+根拠
第1問
〇 解除できる。
Bは約束の日になっても
パソコンを引き渡していません。
そこでAが、
「1週間以内に引き渡してください」
と相当の期間を定めて催告したのに、
その期間内にも履行されない。
このような場合、
Aは契約を解除できます。
これを、
“催告による解除”といいます。
根拠:民法541条
一言理解
「催告しても履行しない⇒原則解除可」
第2問
× 催告は必要ない。
Bは、
「絶対に商品を渡さない」
とはっきり履行を拒絶しています。
このような相手に対して、
あらためて、
「履行してください」
と催告しても意味がありません。。
そのため、
債務者が債務全部の履行拒絶意思を
明確に表示した場合には、
催告をしないで解除できます。
根拠:民法542条1項2号
一言理解
「絶対やらないと明言⇒催告不要」
第3問
〇 解除できる。
結婚式で歌う契約は、
結婚式当日に履行されることに
意味があります。
翌日に歌われても、
契約の目的は達成できません。。。
このように、
特定の日時や期間内に
履行されなければ契約目的を
達成できない場合、
その時期を過ぎれば、
催告なしで解除できます。
根拠:民法542条1項4号
一言理解
「その日に意味がある契約は、
時期を過ぎたら催告不要」
第4問
× 当然には解除できない。
椅子に傷があるため、
”契約内容どおりの履行ではない”
とも考えられます。
しかし、傷が裏側にあり
使用にも全く影響がなく、
契約全体から見てごく僅かな問題
であれば、
その不履行は軽微
と判断される可能性があります。
不履行が軽微な場合には、
催告をしても解除できません。
根拠:民法541条ただし書
一言理解
「契約違反が軽微⇒解除迄はできない」
第5問
× 解除できない。
解除は、
契約関係そのものを解消する
強い制度です。
そのため、
契約違反があったとしても、
その違反が契約や取引上の社会通念に
照らして軽微である場合には、
契約を解除することはできません。
契約違反があるかだけではなく、
「解除するほど重大か?」
を見ることが重要です。
一言理解
「違反あり=即解除、ではない」
③ひっかけポイント解説
①債務不履行があれば,すぐ解除できる?
試験では、
「相手が約束を守らなかった」
だから、すぐに解除できる。
という雰囲気で聞いてきます ♫
でも原則として、
いきなり解除することはできません。
まずは相手に対して、
「相当の期間内に履行してください」
と催告します。
そして、
その期間内に履行されなかった時に
解除できるようになります。
つまり、
『債務不履行』
→催告
→期間内に履行なし
→解除
この流れが基本です☆
②催告は必ず必要?
☆必ずではありません☆
例えば、
・債務の全部が履行不能
・債務者が全部の履行を明確に拒絶
・一部履行不能や一部拒絶で
契約目的を達成できない
・決められた日時に履行されないと
意味がない
・催告しても
契約目的を達成できない事が明らか
このような場合には、
催告なしで解除できることがあります。
つまり、
「催告しても意味がない」
場合には、
その催告を飛ばせるということ♫
③履行が遅れたら即解除?
これも違います☆
単に履行が遅れただけでは、
原則としてすぐには解除できません。
まずは相当の期間を定めて催告し、
それでも履行されなかった時に
解除できます。
「期限に遅れた」
=
「その瞬間に契約終了」
ではありません。
ただし、
結婚式当日の演奏や、
イベント当日の弁当の納品など、
その日に履行されなければ
契約の意味がなくなる場合は別☆
④契約違反があれば何でも解除?
何でも解除できる訳ではありません。
違反があっても、
それが契約全体から見て
軽微である場合には解除できません。
例えば、
普通に使える椅子の裏側に
小さな傷があるだけの場合など ♫
ここで大切なのは、
「契約内容と違っているか?」
だけでなく、
「契約を終わらせるほど重大か?」
という視点です。
⑤解除と取消しを混同する
解除と取消しは、
似ているようで違います。
”解除”は、
有効に成立した契約について、
その後の債務不履行などを理由に
契約関係を解消する制度です。
一方、”取消し”は、
詐欺・強迫や制限行為能力など、
契約をした時点に問題がある場合に
契約の効力を否定する制度です。
”解除”
→契約成立後の問題
”取消し”
→契約成立時の問題
と整理すると分かりやすい☆
⑥条文番号もセットで覚える
催告による解除
→民法541条
催告によらない解除
→民法542条
この2つはセットで覚えると、
問題文を読んだ時に判断し易くなります☆
〈ポイント〉
✔ 解除は原則として催告が必要
✔ 相当期間内に履行がなければ解除できる
✔ 履行不能や明確な履行拒絶では催告不要
✔ 決められた日時に意味がある契約も催告不要
✔ 不履行が軽微な場合は解除できない
この5つを押さえれば、
解除の要件問題にも、
結構戦えそうです~~~☆
④一行まとめ(次に使える形へ)
契約解除では、
まず「相当期間を定めた催告」が原則で、
それでも履行されなければ解除でき、
履行不能・明確な履行拒絶・定期行為等は
催告なしでも解除できるが、
不履行が軽微な場合は解除できない制度~♫
次回は、
『㉓解除②(効果)』♪♪
解除したら、
払ったお金や受け取った物はどうなるのか?
一歩ずつ~~積み重ねていきまっす☆☆☆
ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
『加納光メソッド実践』
今日も、
師匠と仲間と共に ♪♪
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