40年ぶりに会った幼馴染は、夢を笑い飛ばしていた
幼馴染と、40年ぶりに再会した。
彼は大学卒業後、30代後半まで司法試験に挑み続けた。
10年以上、ひたすら挑戦し続けて、結局断念して実家の家業を継いだという。
噂で聞いていた話だった。
ずっと気になっていた。
親に尋ねても、なんとなく聞きづらいという雰囲気で、要領をえなかった。断念してからの近況もほとんど伝わってこなかった。
周りが、まるで腫れ物に触るかのように気を遣っていたのかもしれない。
再会する前、少し覚悟していた。
「夢破れて家業を継いだ」という話だけが頭にあって、「仕方なく」という悲壮感が漂う雰囲気になっているかもしれないと、勝手に思っていた。
ひょっとしたら、すっかり卑屈になってて「何しに来たんだ!」って冷たくあしらわれるんじゃないかと、勝手にドキドキしていた。
いざ会ってみたら、全然違った!
子供の頃と全然変わらない明るい雰囲気のまま、年を取っていた。
40年ぶりの再会を、心から喜んでくれた。
内心ほっとしたので、司法試験の話にふれてみた。
すると彼は、笑い飛ばしながらこう言った。
「もし受かってたら、ロクな弁護士にならなかっただろう。後悔は微塵もないよ!」
そうやって堂々と語る彼の顔には、敗北感など一ミリもなかった。
周りが勝手に気を遣っていただけだったのだ。
当の本人は、周囲の気遣いも含めて笑い飛ばしてしまうくらい、今の生き方に自信を持っているように見えた。
逆に、勝手に憐れみの気持ちを持ってしまっていた自分が、恥ずかしく思えた。
話したのは、10分ほどだった。
そのたった10分で、40年の空白が一瞬で埋まった気がした。
人は、思っているより強いのだな、と思った。
そしてたいてい、心配しているのは本人以外なのだと。
