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ゲスト回(後編):歌舞伎評論家・中村達史さんが語る、二代目 中村吉右衛門の「伝承の凄み」と女方の歴史

歌舞伎評論家・中村達史さんをお迎えしての対談形式ゲスト回、いよいよ最終回です!

今回は、達史さんが「この人を一生追っていこう」と心に決めた名優・二代目 中村吉右衛門さんの凄み、そして「なぜ歌舞伎には女優がいないのか?」という歴史的な背景について、たっぷりとお話を伺いました。

「伝承されたものを、伝わってきた通りに高い水準でやる」

達史さんが歌舞伎を見始めて1年ほど経った頃。

「忠臣蔵」の通し上演で、桃井若狭之助という若き侍を演じる中村吉右衛門さんの舞台を見たとき、衝撃を受けたと言います。

「自分自身を出すとか、オリジナルのものをやるといった意識が本当に少ない人。伝わってきたものを、伝わってきた通りにやる。そしてそれを高い水準でやるということに命を懸けてきた人だということを、すごく感じたんです」

歌舞伎には「通し上演」と呼ばれる、長い物語を最初から最後まで演じる形式があります。その中で、例えば同じ「大星由良之助(大石内蔵助にあたる役)」を、場面ごとに違う役者が演じることも珍しくありません。

観客は「あの場面の由良之助は誰が良かった」と酒の肴にし、評論家は「お父さんやおじいさんの代と比べてどうか」という歴史的な縦軸で評価をする。

「伝承」を重んじるからこそ、役者の肉体を通した「わずかな違い」が個性として浮かび上がる。これが歌舞伎の底なし沼の魅力なのだそうです。

なぜ歌舞伎には女性の役者がいないのか?

後半では、歌舞伎初心者なら誰もが一度は抱く「なぜ男性(女方)が女性の役を演じるのか?」という疑問についても解説していただきました。

実は、歌舞伎のルーツである出雲阿国(いずものおくに)は女性でした。

しかし、風紀を乱すという理由で江戸幕府から女性の舞台出演が禁止されます。次に若い男性(若衆)が舞台に立ちますが、これも同じ理由で禁止に。

最終的に「大人の男性(野郎)」しか舞台に立てなくなり、「パフォーマンスの中身で勝負するしかない」状況に追い込まれたことで、演劇としての体裁が一気に整っていったのです。

初期の女方である芳沢あやめは、男性の体でいかに女性らしく見せるかという工夫を『あやめ草』という本に残しています。目線、手の動かし方、足の運び、裾のさばき方……。

そして現在では、女方の衣装やかつらは非常に重く、男性の筋力がなければ舞台上で自由に演技することが難しいレベルにまで進化しています。

「伝統」は一日して成らず

3回にわたって伺ってきた、中村達史さんの歌舞伎のお話。

20年にわたる観劇体験と、厳しい修行時代を経て培われたその視点は、まさに「伝統」の重みを感じさせるものでした。

最近では『ルパン三世』や『風の谷のナウシカ』といった新作歌舞伎も上演され、新しい客層を広げています。(なんと、峰不二子も美しい女方さんが演じて話題になったそうです!)

「新作で興味を持ってもらい、裾野を広げていくという地道な活動は、今に始まったことではなく、歌舞伎がずっと続けてきたこと」と達史さんは語ります。

皆さんもぜひ、新しい入り口からでも、伝統的な古典からでも、歌舞伎の世界を覗いてみてはいかがでしょうか?

💬 今日のひとこと

「伝承されたものを忠実に守る」ことで逆に個性が光る、というお話が印象的でした。あなたの周りに「型を守ることで輝いている」と感じる人や仕事はありますか?

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