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ギャルが会議を変える?ギャル式ブレストの流儀と導入企業3選

会議を変えたいと言う会社は多いのに、変えたいのは議題ではなく、たいてい空気のほうだったりする。
正しい人から順に話す会議ほど、なぜか新しい言葉だけが最後まで入ってこない。


会議室には、いつも見えない序列が座っている

重たい会議には、だいたい似たような景色がある。
誰かが最初に正解らしいことを言い、そのあとに続く人たちは、少しずつ言葉の角を丸くしていく。

本音がないわけではない。
ただ、本音を出した瞬間に場の温度が下がることを、みんな先に知ってしまっている。

新しい案が出ても、「それは難しいですね」で静かに畳まれていく。
否定されたというより、空気のほうに回収されてしまった感じが残る。

だから、会議を変えると言うとき、多くの会社は進め方や資料の型を見直そうとする。
けれど実際に固まっているのは、手順より先に、人の身体に染みついた遠慮のほうなのだと思う。

ギャルが入ると、まじめな声が少しほどける

そこで現れたのが「ギャル式ブレスト®」である。
名前だけ聞くと企画先行に見えるが、導入企業の顔ぶれを見ると、もう少し深い事情がありそうに見える。

日産自動車、三菱鉛筆、JR貨物のような大手が、この場を実際に採り入れている。
話題づくりのためというより、いつもの会議では届かない場所に手を伸ばしたかったのだろう。

このプログラムを発案したのは、CGOドットコムの総長バブリーこと竹野理香子さんである。
令和ギャルが企業の会議に入り、忖度のない言葉で場を動かしていく。

やっていることは派手に見えて、案外ていねいだ。
事前にテーマを聞き、ワークショップを設計し、参加者の肩から会社員らしい緊張を少しずつ下ろしていく。

「ギャル怖くない!」と全員で唱える「ギャルの祈り」は、その象徴かもしれない。
少し笑ってしまう儀式があるだけで、人は思っている以上に、自分の固さに気づける。

ルールが変わると、言葉の出方まで変わる

ギャル式ブレストには、いくつかの決まりがある。
それは発想法というより、言葉が出やすくなるための場の手入れに近い。

まず、敬語を外してタメ語で話す。
いつもなら「部長、それはどうでしょうか」と遠回りしていた言葉が、「それどう思う?」に変わるだけで、場の息づかいまで少し軽くなる。

次に、全員があだ名で呼ばれる。
部長が急に「しげP」と呼ばれて少し笑い、その笑いで周りの肩も落ちるような瞬間は、会議の序列がほどける音に少し似ている。

さらに、相手の言葉を否定しない。
どんな案にも最初は「ちょーいいじゃん」と受けるので、話しながら自分で引っ込める癖が弱くなる。

沈黙も長くは放置しない。
しーんとした時間が続きそうになると、ギャルの強いリアクションが場に空気を戻してくれる。

服装にも条件があって、一番好きな服で来るよう求められるという。
好きな服を着た日には、会社に合わせた言葉より、自分の奥から出てくる言葉のほうが少しだけ先に立つ。

外から来た一言が、古い空気をやわらかくする

三菱鉛筆では、「描くって何だろう」がテーマになった。
その場で出てきたのは、性能比較の言葉ではなく、願掛けやジンクスのような、少し曖昧な感覚だった。

「この鉛筆だとうまくいきそう」という言葉は、理屈としては弱い。
けれど、文房具が人の気分に触れていることを言い当てるには、むしろその曖昧さのほうが近い。

「文房具ってエモい」という一言も、分析資料にはなりにくい。
だが、長く業界の中にいるほど、そういう言葉を拾いにくくなるのも事実だと思う。

札幌市役所では、札幌の良さを見つける研修として導入された。
ふだんは言葉を選び、順番を守り、余計な熱を見せない場で、ギャルの明るさが入ると、会議室の蛍光灯まで少し白く見えたのではないかと思う。

お役所の会議は、間違えないことが先に立つぶん、言葉がよそ行きになりやすい。
だからこそ「札幌のここ、なんか好き」という雑味のある言い方が、案外いちばん街に近かったりする。

参加者から、ほかの部署にも勧めたいという声が出たという。
斬新な案が出たこと以上に、話してよい空気が残ったことのほうが大きかったのではないかと思う。

JR貨物では、「輸送の未来」という重いテーマで実施された。
安全と安定を背負う会社にギャルを入れるという構図自体に、すでに少し意味がある。

印象的だったのは、若手女性社員の感想である。
自分だけがギャルマインドを持っていると思っていたのに、隣の上司にもそれがあったと知ってうれしかったという。

この言葉は、新しいアイデアの話より、もう少し深い。
組織の中には最初からあったものが、空気のせいで見えなくなっていることがある。

大企業が求めているのは、案ではなく空気かもしれない

大企業には、積み重ねてきた知恵やノウハウがある。
ただ、積み上がったものは、ときどき新しい案に対して、きれいな壁にもなってしまう。

規定に合わない、前例がない、説明が難しい。
どれも正しい言葉なのに、その正しさが会議の体温を少しずつ奪っていくことがある。

ギャル式ブレストが壊しているのは、論理そのものではない。
論理の前で、先に口を閉じる癖のほうを、明るくゆるめているのだと思う。

だから、このサービスが提供しているのは、発想の奇抜さだけではない。
人が本音を出しても場が壊れない、あの感じを会議室に持ち込むことなのだろう。

会議で必要なのは、いつも賢い結論とは限らない。
役職が空気を守りすぎる会議では、たいてい新しい案より先に、本音のほうが先に消えていく。

まじめな場所ほど、明るい異物に救われる

ギャルが会議を変えるという言い方は、たぶん半分だけ正しい。
本当は、会議が失っていたものを、ギャルという存在が見える形にしているのかもしれない。

正しいことを言う人が多い会社ほど、空気はときどき息苦しくなる。
その息苦しさを壊すのが、必ずしも正論ではないところが、少しおもしろい。

ギャルが必要なのではなく、ギャルが入らないと本音が出ない会議のほうが、少し気になる。
まじめな場所ほど、ときどき明るい異物に救われる。

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