旅の余韻を持ち帰る技術|旅先で何を買うのか
旅はなるべく長く味わいたい。
だけど、時間にもお金にも限りがある。
そんな私がたどり着いたのが、「旅を日常に持ち帰る」という考え方だ。
私が旅先で買うものには、いくつかルールがある。
① 日常に持ち帰れるもの
② もともと欲しかったもの
③ 荷物になりすぎないもの
④ 現地の暮らしを感じられるもの
⑤ 旅が終わった後も楽しめるもの
この考え方になったのは、捨て活を通して気づいたことがあったからだ。
旅先で買ったものの中には、今でも大切に残しているものと、すでに手放したものがある。
例えば21歳の頃、ワーキングホリデーで行ったオーストラリアのパディントンのフリーマーケットで買った小さなクマの編みぐるみ。
イギリスで買ったマグカップ。
そういうものは今でも好きだ。
一方で、その場の勢いで買ったものの中には、手放したものもあった。
ときめき買いは悪くない。
だけど私は、「買った後どこに置くのか」を考えていなかった。
その失敗から学んで、今は欲しいものリストをスマホに入れている。
リストに入れただけで満足してしまうものもある。
欲しいのに何年も見つからないものもある。
今回の北欧旅では、その「欲しいのに見つからないもの」を探してみることにした。
探しているだけでも楽しい。
そして見つかったらラッキー。
もともと自分にとって必要なものに、「旅先で出会った」という付加価値が加わる。
すると満足度はぐっと高くなる。
逆に私があまり惹かれないのは、観光客向けに大量生産されたお土産だ。
観光地価格になっているものも多い。
だから私は、お土産物屋さんにはほとんど行かない。
代わりによく行くのはスーパーだ。
コーヒー。
紅茶。
スープストック。
ドライフルーツ。
歯磨き粉。


現地の人が普段使っているものを見るのが楽しい。
しかも、お土産物屋さんより安い。
私は家族以外には基本的にお土産を買わない。
家族には事前に欲しいものを聞いておく。
以前の私は、
「見つけた!」
「買う!」
だった。
でも今は違う。
日本にいる時から欲しかったものを探している。
今回持ち帰ったのは、ポスター、お皿、マグカップ。
どれも長期検討案件だった。
私はいつも機内持ち込みサイズのキャリーケースで旅をする。
快適に旅をするためには、身軽でいる必要がある。
だから荷物になるものはあまり買わない。
それでも今回は、ルイジアナ美術館でA0サイズのポスターを買った。
軽いけれど、とにかく長い。
丸めてあるとはいえ、なかなかの存在感だった。
機内で潰されないように少し気を使った。
帰国後はすぐに仕事が始まった。
気がつけば二週間。
ようやく日常のリズムが戻ってきた気がする。
私は刺激をたくさん受けると、その後に回復期間が必要なタイプだ。
自分はそういうタイプなのだと受け入れている。
それでも旅に行きたい。
週末、スウェーデンで買ったお皿とマグカップを使って簡単なモーニングプレートを作った。
その瞬間、
「ああ、日常に戻ってきたな」
と思った。
旅の思い出を振り返れる余裕が出てきたからだ。
考えてみると、私は物を買っているようで、記憶を持ち帰っているのかもしれない。
ポスターを見る。
マグカップを使う。
紅茶を淹れる。
そのたびに旅の続きを少しだけ味わえる。
購入品は旅の余韻を再生する装置。
帰国しても、旅は続いている。
