AIで作った曲は自分の作品なのか? The Rootsがくれた答え
AIで曲を作れるようになった今でも、
「AIで作った曲なんて、本当に自分の作品と言えるのだろうか」
こんな違和感はありませんか。
実はヒップホップの歴史にも、似たような葛藤がありました。
サンプラー全盛の90年代。
高価な機材が買えず、手元の「生楽器」だけでヒップホップに挑んだストリートの若者たちがいました。
それが、The Rootsです。
今回は彼らの1stアルバム『Organix』を題材に、機材が変わっても変わらないクリエイターの本質について考えてみます。
生音の限界と、サンプラーとの融合
当時のヒップホップは、AKAIのMPCやE-muのSP-1200を使ったサンプリングビートが全盛期。
機材を持たず、独自の生演奏スタイルでヒップホップをやろうとした彼らは、当初、「ヒップホップらしくない」「ジャズバンドみたいだ」と
異端扱いされ、壁にぶち当たります。
そこで彼らが選んだのは、生演奏とサンプラーのノリを「融合」させることでした。
とくにQuestloveの探求は異常です。
彼は初期、ヒップホップの正統性を証明するために機械のように正確なリズムで叩く訓練を重ねました。
しかし1996年頃、彼はJ DillaがMPCで作る「あえてヨレたグルーヴ」に衝撃を受け、プレイスタイルを大きく変貌させます。
「MPCというドラムマシンを使って人間のような揺らぎを出すDilla」に対し、「人間が扱う生ドラムなのに、Dillaが操る機械の揺らぎを再現するQuestlove」という、音楽史に残る変態的な逆転現象が起きたんです。

シンバルの余韻をわざと短くミュートしてサンプルのぶつ切り感を出し、キックのタイミングをMPC特有の呪術的なヨレに合わせていく。
彼は決してサンプラーを否定したわけではありません。
生音の限界を知った上で、機械が作るグルーヴを徹底的に研究し、それを自らの肉体にインストールしたのです。
AIも同じです。AIを使うか使わないかではありません。どれだけ深く理解し、自分の表現に取り込めるかです。
QuestloveがMPCを研究したように、AIも研究対象なんです。
路上ライブの延長で作られた『Organix』の異常な熱量
彼らは当初、「The Square Roots」と名乗っていました。
「Square」には「真面目、オタクっぽい」という意味があり、楽器を演奏するヒップホップグループという当時の異端なスタイルを自嘲気味に表した名前でした。
しかし、地元のフォークグループとの名前被りを機に「Square」を捨て去り、「The Roots」へ改名。
ストリートの変わり者から、プロフェッショナルな表現者へと脱皮します。
そして、ドイツでのライブという大きなチャンスを掴んだ彼らですが、手売りする音源すらありませんでした。
そこで急遽録音されたのが、後に1stアルバムとなる『Organix』です。
これはメジャーに向けて緻密に計算されたデビュー作というより、彼らの路上でのセッションやライブの熱量をそのまま真空パックした、いわば生バンドによる「ビートテープ」でした。
綺麗に整音されたトラックではなく、荒削りで泥臭いノイズすらも音楽の一部にしてしまう異常な熱量が、この急造のテープには詰まっています。
The Rootsはアルバムを「作品」と考えていなかった
The Rootsのクリエイティビティで最も面白いのは、彼らの「アルバムの捉え方」です。
メジャーデビュー作となる次作『Do You Want More?!!!??!』は、『Organix』の全17曲に続く「トラック18」から始まります。
さらに続く名盤『Things Fall Apart』は「トラック54」から。
彼らにとってアルバムとは、独立した「作品(点)」ではなく、ひとつの巨大なセッションが連なる「章(線)」なんです。
これは、毎日DAWに向かい、延々とビートを作り続ける現代のビートメイカーの感覚にすごく近いと思いませんか?
今日のビートは昨日のビートの続きであり、完璧な一曲を作るために立ち止まるのではなく、作り続けること自体が彼らのグルーヴになっているんだと感じました。
AI時代だからこそThe Rootsから学べること
The Rootsはバケツを叩くところから始まり、人間の肉体を使ってサンプラーの無機質なグルーヴを再現するという離れ業をやってのけました。
一方で、現代はどうでしょう。
今はAIを使えば、誰でも手軽にプロ顔負けのトラックを生み出せる時代です。
人間が機械を模倣したThe Rootsの時代から、機械が人間らしさを模倣する時代へと逆転しました。
AIで曲を作ると、
「それは本当に自分の作品なのか?」
「自分で演奏していないのにクリエイターと言えるのか?」という疑問を持つ人もいます。
でもThe Rootsもまた、「生演奏なのにヒップホップなのか?」という違和感と戦っていたはず。
ツールが変わっても「自分の中にあるビートを形にして、目の前の人に届ける」という根本的なクリエイターの本質は変わりません。
AIで作った曲を「ただのデータ」としてハードディスクに眠らせるか、The Rootsのように点と線を紡いでいくかは、あなた次第です。
The Rootsも最初は「トラック1」から始まりました。
あなたのトラック1も、今日から作れます。
そして本当に大事なのは、トラック2、トラック3を作り続けることです。
AIで音楽制作を始めたい方向けに、無料ガイドを配布しています。
・3分で2曲作れるSUNO入門
・AIで最初の3000円を作った実践記
興味があれば受け取ってみてください。
さらに、Home pageも作成したので、ぜひ覗いてみてください。
