AIは、わたしのMVを勝手に変えてしまった
AIで映像を作ると、思い通りになりません。今回制作したMV「HABU」も、本来はまったく違う作品になる予定でした。
わたしが表現したかったテーマはシンプルです。それは「日々の積み重ね」というテーマでした。
毎日少しずつ学び、挑戦し、失敗しながら前に進んでいく。そんな姿を、もっと分かりやすい映像で表現しようと考えていました。
でも、結果的に完成した映像はまるで別物になりました。白い紙の上に一滴の黒いインクが落ちます。
そこから黒いハブが現れます。ハブは地面を這い回り、その軌跡から木の根が生まれます。
そして最後には、巨大な大木へと成長していくんです。自分でも予想していなかった、不思議な映像になりました。
なぜこんな作品になったのか。今日はその話を書いてみます。
AIは、わたしの計画を何度も壊した
今回のMV制作ではGoogleVeoを使っています。GoogleVeoは8秒単位で映像を生成します。
つまり映像制作というより、8秒ごとにAIと会話をする感覚に近いんです。まずは最初のフレームを決めます。
8秒後の状態を想像し生成します。すると、予想外のものが出てきます。
そこからまた次を考えるんです。その繰り返しでした。
最初の頃は、わたしもAIをコントロールしようとしていました。こう動いてほしい、こう変化してほしい、こう終わってほしいと願っていました。
でも、うまくいきません。むしろ細かく指示するほど、映像は不自然になりました。
何十回も生成を繰り返すうちに気付いたんです。
AI作品というのは、思い通りに作るものではないのかもしれない。対話しながら育てるものなのかもしれない。
そう考えるようになりました。
偶然を拾い、育てる
転機になったのは、AIとのキャッチボールを重ねる中での気付きでした。
当初のこだわりを捨ててAIの返してくる予想外の動きを受け入れたとき、インクの染みからハブが生まれ、大木へと育つという展開へ進化していったんです。
最初は使う予定ではなかった奇抜なビジュアルでしたが、その映像には妙な生命力がありました。

決して美しくはなく、整ってもいませんでしたが、なぜか目が離せませんでした。そうして、作品全体の方向性が決まったんです。
完成した映像を見返すと、少し不思議な気持ちになります。最初に作ろうとしていた映像よりも、こちらの方が自分らしいからです。
黒いシミから始まる、わたしたちの旅
白い紙に落ちる黒いインクは、人生の中で突然やってくる不安や苦しみを表しています。
健康の問題かもしれませんし、人間関係かもしれません。あるいは、将来への恐れかもしれません。
心に落ちた黒い染みのような出来事です。その暗闇の中から現れるハブは、生きる力そのものです。
泥臭くても前へ進もうとする生命力なんです。ハブが這った跡から根が生まれていくのは、学びの積み重ねです。
本を読むこと、失敗すること、挑戦すること、そのすべてが根になっていきます。
そしてハブは、その根の周りを螺旋を描きながら登っていきます。
一歩ずつ高みへと上昇していくその姿は、終わりのない成長のサイクルを表している気がするんです。
人生も似ている気がします。
成長していないように感じる時期があります。同じ失敗を繰り返しているように感じる時期もあります。
でも振り返ると、ちゃんと前へ進んでいます。その姿を、螺旋という形で表現したかったのかもしれません。

シミを消すのではなく、育てていく
最後に完成する大木は、ひとつの到達点です。最初は不気味な黒いシミだったものが、時間をかけて大きな木になります。
そして誰かを守り、癒やし、雨風をしのぐ場所になるような未来を表現したかったんです。
わたし自身、この映像を作りながら思いました。創作も人生も、最初から美しい形では始まらないんですよね。
むしろ、黒いシミから始まることの方が多いんです。底知れぬ暗闇から、何もないところに大木を育てていきます。
そうすると、思いもしなかった景色に辿り着けることがあります。今回のMVは、その記録なのかもしれません。
6月13日の全編公開に向けて
6月13日、EP「ZASHIKI」とともにMVの全編を公開します。もしこの作品の続きを見届けていただけたら嬉しいです。
そして、AIとの制作過程や失敗談、試行錯誤の記録に興味がある方は、ニュースレター(Substack)も覗いてみてください。
完成作品よりも、その途中経過の方が面白いと、そんな気がしています。
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それでは、6月13日のEP「ZASHIKI」リリースを楽しみにしていてください。
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