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【2巻読了時点感想】なんて素敵にジャパネスクの瑠璃姫、ロックの塊すぎる問題

こんにちは
強い女は好きですか?俺は好きだ!!!!!!!!!!!

noteって開始2行で癖を開示していい媒体なんですっけ?規約にダメとは書いていなかったので好きにするが……

初恋は哀川潤、好きな護廷十三隊は四番隊、好きな反社会組織はホテルモスクワ

あらゆる強い女を愛し、強い女に愛されたかと言えば別にそういうわけでもない男こと俺なんですが、でも一口に「強い」と言っても色々ありませんか?

あるんだ
あるんです
あるとして話を進めます

じゃあお前が言う「強い女」ってたとえばどんなんよ?
と問われれば、俺は言うね

その答えを知りたくば、まずは「なんて素敵にジャパネスク」を読め!!!!!!!

話はそれからだし本日は氷室冴子先生の大傑作・「なんて素敵にジャパネスク」感想怪文書です

瑠璃姐さん、俺はあんたについていくぞ

なんて素敵にジャパネスク

やんごとなくもパワフルな瑠璃姫は、恋し恥ずかし16歳。父の大納言から連日、“結婚"をせきたてられているのが悩みの種…時は平安、京の都でくりひろげられる超過激、活劇ラブ・コメディ!

公式あらすじより

というわけで、やんごとねえあらすじのほうぺたりと貼らせて頂きましたけども、個人的に本作の面白さはこのパワフルの一言では決して片付けてはいけない高貴なる蛮族(語義矛盾)こと主人公・瑠璃姫に集約していると思います

だって面白くないですか?

時は平安時代
いまではまぁ考えられない価値観が支配する日本では、女は17歳で行き遅れ扱いだし(怖……)、一夫多妻制で男は浮気して当然みたいな感じだし(怖……)、ていうか親が娘の夜這いアシストしようとするし(怖すぎ……)で、いや待てちょっとそこなofficial公家男dism座りなさいよ

あなたね、そんな価値観で令和の世に現れようもんなら袋叩きですよ
平安時代にSNSがあったらお前ら「#いとキモし」ってタグで連日大炎上不可避だからな
ジョブズの誕生が1,000年前とかじゃなかったことに感謝しな


というわけで本作は男尊女卑が罷り通る時代のお話ながら、主人公・瑠璃はまるでタイムスリップでもしてきたかの如く現代的な価値観を持ち合わせた女傑であらせられます

年頃になれば結婚して当たり前の社会で「初恋が忘れられないから結婚は嫌!」と独身主義を決め込むわ、「夫がよそで女作るのもイヤ!」とキレ散らかすわ、当時の社会規範に中指立てているタイプでこの設定がまぁ〜〜〜〜〜抜群に面白い

恋人たちが歌を送り合っていた平安時代に、突然現代の女の子がタイムスリップしてきたかのような構造で、もちろんそうなってくると瑠璃姫と貴族社会の間には価値観の摩擦が発生します(主に高彬とか父親がその犠牲になったりもします)

そして、その摩擦がドラマになる
当時受け入れて当たり前の価値観に否を唱えて戦うのが瑠璃姫を特異たらしめるし、ヒロイックにもする


貴族社会のなかで渦巻く陰謀に巻き込まれては奮闘する瑠璃姫は、けれども陰謀の黒幕とだけ戦っているのかといえばこれも違う

高貴なる姫は安全なところにいなさい、という社会の当然の要請さえ跳ね除けて活躍する瑠璃姫は悪だけでなく彼女を取り巻く世界全部と対決しているようにも見えます

この窮屈な舞台で自由な瑠璃姫が好き放題に暴れ回る様はあまりにも痛快だしめちゃくちゃ面白い

俺は世界と自分の意見が対立したとき「いやでも自分のが正しくね?」って戦い始めるやつが好き
自分の為に意地を張ってるやつが一番かっこいい

高彬が悪いんじゃないわ。そういう考え方が正しいのよ。
でも、ものごとには、正しいことがすべて、いいことだってこともないはずよ。

なんて素敵にジャパネスク2
 著・氷室冴子 出版・コバルト文庫
p118より


瑠璃姫強い女論考

「あたしたち、昔、とても仲良しだったんです。ままごとみたいに、結婚のお約束もしてたんです。それだけで助けちゃいけませんか」

同上・p262


強い女というのにも色々あって、じゃあ瑠璃姫には腕っ節があってそこらの男ども薙ぎ倒していくような力強さがあるかと言えばもちろん違います


じゃあここで言う「強い女」ってどういう定義かと問われればそれは「自我の強さ」みたいなところに帰結すると思います

これは「西の善き魔女(著・荻原規子)」の主人公・フィリエルとかにも共通しているですけどまぁ心が折れないんですよね

自分の欲するところ、望むところに真っ直ぐでそれを誰に阻まれようがそこだけ間違ないし譲らない

悲しいこと、辛いことがあれば2人とも号泣するタイプなんですけど最後はなんか立ち上がるし歩き出す

「メンタル強いからネットで何言われても気にしないんだよね〜」みたいなこという芸能人、男女問わずたまにいらっしゃると思うんですけどメンタルが強い=傷つかないってなんか違う気がするし嘘くさくないですか?


なにを言われてもされても傷つかない、という言葉の裏側には傷ついたらもう立ち上がれないから傷つくわけにはいかない、という悲しい強迫観念が透けて見えませんか?

脆性という言葉がありますよね
外力が加わったときに変形する力を持たないが故に破壊されやすいもの


たとえばダイヤモンドは硬いけれど脆性素材です
硬いことは脆いという言葉の対義語ではありません
傷つかないということは、強いという言葉の同義語でもないんです

「メンタル強い」を自称しなければならない彼ら彼女らの語る「強さ」のなかには、どうしてもこういう脆さが垣間見えている気がしてなりません

その点、フィリエルや瑠璃姫はよく泣くし、へこたれもします
けれども心が折れることはない
傷つくことと凹むことは違うし、折れることと曲がることは違います

脆性の反対語を靭性といいます
ゴムや鋼のような素材を指す言葉です
これらは粘りを持ち、外力に対して変形する能力を有しているので、エネルギーを逃しやすく壊れにくいものです


つまり工業的に言えば、たとえ凹み曲がろうとそれに耐えうるものほど壊れにくく強い素材なんです
そして、心にもこれと同じ性質があるように俺には思えます

俺が思う「強い」の定義は正にこれです

たとえ泣く瞬間、心が耐えられない瞬間があるにせよ、最後は立ち上がって我を通すというヒロイックな精神性
たとえ物理的にはか弱くとも、自分の正しいと思った事をやり通す自我
傷つかないのではなく、傷ついても立ち上がる主人公像

あまりにも激動と苦難とが連続した2巻で瑠璃姫が見せてくれたのはまさにそういう姿だったと思うし、そんな彼女だからこそ多くの読者の心を打ち共感を勝ち得たのではないでしょうか

俺はこういう主人公が好きです
俺の思う強い女はこれ
瑠璃姐さんの勝ち
世界はあんたをロックと呼ぶんだぜ

まとめ

というわけで振り返ると「なんて素敵にジャパネスク感想文」というよりも単純に瑠璃姫に脳を焼かれた成人男性の不気味な文書になってないか?
瑠璃姫への言及だけで終わる感想記事許されるのか?

ともあれ、氷室冴子先生の沼に片足ガッツリ突っ込んだ気配がします


元々キッズ時代から憧れの作家さんが本作「なんて素敵にジャパネスク」を好きだと仰っていて、いつかは読まなきゃだろうな〜
けど歴史物はなぁ〜
てか、こんだけ古い小説を現代で読むのキツイだろうな〜と思っていたらとんでもない


間違いなく時代を超える面白さだし、現在でも熱心に愛を語られるファンの方がたくさんいるのも当然だと感じます
一生心に残り続ける物語というのはあって、氷室冴子さんはそういう話をお書きになったんだろうなと思います

個人的には現代の大衆にこの作品がどういうふうに受容されるかをすごく見たい
当時とはまた違った受け止められ方でもっともっと評価される気がします

古い原作をリバイバルで映像化する現在の潮流に引っかかってアニメ化とかしないかな〜とちょっと思ったりなじばんだり

本当は2巻についての内容をガッツリ語りたかったんですけど、まだ読了したてで傷が深くあまり語れそうにないので日和ってこんな内容になりました

どこかでもう少し詳しく語れるといいですね
小説史に残る2巻ラストの素晴らしさなど、まだまだ語りたいことはありますが、いまはただこの余韻を楽しむことにします


というわけで、今回はこんなもんで
ではでは



追記
ところで集英社オレンジ文庫さん、「銀の海 金の大地」の復刻版、絶好調で版を重ねていらっしゃいますね?

おめでとうございます!!!
いやぁ氷室冴子が時代をビヨンドしてしまうことが証明されてしまいましたねィ!?!?!?

ということは?
たとえば?
銀金完結の暁には?
「なんて素敵にジャパネスク」の復刻版を出しちまえば???

おっとここから先は言わずともお分かりですね?ククク……

集英社オレンジ文庫さん、待ってます
集英社オレンジ文庫さん、信じてます
集英社オレンジ文庫さん、俺は綺麗な紙の本でなんジャパを所有したいです
集英社オレンジ文庫さん、よろしくお願いします

俺より

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