【掌編小説】白い息と、はじまりの言葉【2780文字】
大晦日の夜は、少しだけ世界が静かになる。
街の音が遠のいて、代わりに自分の心臓の音がくっきり聞こえるようになる。
僕はその音を誤魔化すみたいに、マフラーに顔を埋めながら、神社へ向かう石段を上っていた。
吐く息は白く、指先は感覚が鈍くなるほど冷たい。
それでも引き返そうとは思わなかった。
今日は十二月三十一日。
今年が、終わる日だ。
高校二年生になってからの日々はあっという間だった。
部活の帰り道、教室の窓から見える夕焼け、どうでもいい話で笑った昼休み。
そのどれもに、彼女がいた。
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