「受け入れる」とは、前を向くということ〜変えられない現実とどう向き合うか〜
1. 「受け入れる」という言葉の重たさ
日常の中で「受け入れる」という言葉を見聞きする機会は多いものです。
「ありのままの自分を受け入れる」「現状を受け入れる」「障害を受け入れる」など、前向きで成熟した姿勢の象徴のように語られがちです。
しかし、この言葉には独特の“重さ”があります。
とくに、精神的に困難な状況にあるときには、それがプレッシャーとしてのしかかることもあります。
「受け入れなければいけないんですよね」
「いつかきちんと受け入れられるようにならないと」
そんなふうに、言葉として出てくることもしばしばあります。
一見前向きなその発言の奥には、「今の自分はまだ未熟だ」「このままではだめだ」という思いが潜んでいることも少なくありません。
2. 「受け入れる」の本来の意味を見直す
まず、辞書的な意味を確認してみましょう。
うけ‐いれ【受(け)入れ】
1 人や物を迎え入れたり、引き取ったりすること。
2 承知すること。承諾。承認すること。
ここで該当しそうなのは2の意味。
「承諾」「承認」つまり、「認める」という意味合いになります。
しかし、「認める」こともまた簡単ではありません。
自分の中にある否定したい部分、できればなかったことにしたい過去や経験。
それを“認める”には、相応の葛藤と時間が必要です。
また、社会的には「受け入れる=前向きになる」「肯定的にとらえる」ことのように思われがちですが、必ずしもそうではありません。
受け入れることは、美化することでも、感謝することでもないのです。
3. 「受け入れなければ」が引き起こすジレンマ
精神医療や発達支援の現場では、こうした「受け入れなければならない」という思いに、苦しんでいる方を多く見かけます。
たとえば──
発達障害の診断を受けた親御さん
精神疾患のあるご本人
長年悩んできた性格的な傾向と向き合う人
その誰もが、「自分はまだ“受け入れられていない”」「こんな感情を抱いている自分は未熟だ」と、今の自分にダメ出しをしてしまいがちです。
それが一層苦しみを深くしてしまう。
まるで“正しく受け入れなければ意味がない”というルールがあるかのように。
しかし、「受け入れる」ことは、そんな厳格な通過儀礼ではありません。
むしろもっと、柔らかく、揺らぎのあるプロセスなのです。
4. 「受容」にはプロセスがある──死の受容モデルから考える
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