親父と海
親父は海が好きである。
川育ちだからかもしれない。
親父が育った山鹿市という街は、海から山を隔てた内陸にある。
親父は私が幼い頃、実家であるその祖母の家に私達を連れていき、川べりでのんびり釣りをするのが好きだった。
本当に海から遠い街なのだと感じるのは、食卓にいつも魚が出ていないことだった。
祖母に連れられて魚屋に行った際も、あまり魚は多く置いてなく、モクズガニだったり、川魚だったりが並んでいた。
親父は釣りが好きだったのか、それとも祖母の家で他にのんびりすることもなかったのか、よく釣りをしていた。
そんな親父が釣りにハマったのは、実にこの10年くらいのことである。
元々、私の妹が小さい頃に、よく妹を連れ釣りに行ったり、大人になった私を誘って釣りに行ったりはしていたのだが、釣りが本格的になったのは母と別居して、親父が自由になってからだった。
海に対する憧れは昔からあったのかもしれない。
仕事用にと購入した大きなバンが、旅バンに変身するのはあっという間だった。
七輪やキャンプが好きだった親父のバンは、自らの手によって内張りを貼られ、釣り竿棚が乗り、ハンモック置きが作られた。
どこで見たのか、旅YouTuber仕様だ。
いや、多分YouTubeを見たのだろう。
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