見出し画像

【K-POP】何故ファンが「悪質な書き込み」を告発できるのか?


【追記:2025/7/30】うちの長男のお言葉を追加

結論から言うと、法律が違うから

K-POP界隈では、「悪質な書き込み」を巡る諍いがしばしば起き、それが「告発」に至ることもあります。
日本で平和に生きてると、物騒すぎる……と思うのですが、何でそんなことになるんでしょう。

これ、自分も不思議だったので一回調べたことがあるんですが、法律が違いました。
韓国の名誉棄損って、「親告罪(当事者が訴えて成立する罪)」じゃないんですよね。「公訴(第三者による訴え)」が可能なんです。
(日本では親告罪なので、第三者は証拠集めて事務所に送るしかないです)

どういうこと?と思った人のため、解説しておきます。あくまで私の理解なので、興味を持った人は調べてみてくださいね。
そこまではいらないという人は、とりあえず「日本では真似できない」ということだけ覚えておいていただいたらOKです!

告発の流れから見る、韓国の名誉棄損罪

根拠になる刑法は下にメモっときますね!

韓国の名誉棄損は、親告罪ではない

韓国の「名誉毀損罪(刑法第307条)」は親告罪ではないため、ファンなどの第三者が刑事告発を行うことが可能です。
民事訴訟(慰謝料請求など)は、原則として被害者本人または法定代理人に限られるため、できません。

検察が必要と判断すれば起訴され、裁判になります。
ただし、被害者が「処罰は望みません」という意思表示をした場合は、公訴できません(刑法第312条)。
要するに、当事者の意思が一番であり、第三者がそれに逆らって処罰を求めることはできないわけです。

このため、警察または検察は捜査の過程で、被害者(または代理人)に「処罰を望みますか?(処罰意思の有無)」という確認をします。
告発した第三者には、ここは知らされません。

事件の簡単な処分結果(例:「捜査終了」「送検済」)は、通知されることがあるそうです。
ただし、告発された人の名前や住所を含む個人情報や、当事者が処罰を望んでいるかどうかなどの話は、原則として開示されません。捜査機関には、個人情報保護義務だけでなく、刑事捜査における守秘義務がありますからね。

告発した本人とはいえ第三者なので、捜査状況や告発された人のことを知りたくても、情報は制限されます。
特に個人情報に関しては、公判になった後裁判記録を見るくらいしかないんじゃないでしょうか。ただし、その事件が自分の告発に基づくものか、確定する情報がありませんが。

当事者や代理人から直接聞いた場合は、例外的に知れるかもしれませんが、普通はないですね。バレたら大変ですから。

代理人は所属事務所なの?

一般的にはそうなります。
ファンが告発したとしても、警察・検察が確認しに行くのは、普通に考えると所属事務所なのではないかと思います。

HYBEやADORなどの芸能事務所の場合、アーティストの法的代理人として刑事手続に関与する契約的・業務的根拠を持っていると判断されます。
そのため、第三者とは異なり、名誉棄損を巡る告発に関しても、当事者に準じる資格を持っていると思われます。

だから、アーティストの代わりに権益侵害の情報を集めて告発することが可能なのです。

第5条(事務所のマネジメント権限および義務など)
④ アーティストの芸能活動を第三者が侵害または妨害する場合、事務所は
その侵害や妨害を排除するために必要な措置を取らなければならない。
第11条(権利侵害に対する対応)

第三者が第8条から第10条までに規定された権利を侵害する場合、事務所は自身の責任と費用でその侵害を排除するための措置を取らなければならず、アーティストはこのような事務所の侵害排除措置に協力する。

「大衆文化芸術人(歌手中心)標準専属契約書(2024.6.3.改正)」より

テテとグクの場合は、普通代理人(BIGHIT)がやってるところを、当事者としても対応したという形になり、申し立て人にBIGHITも入っています。

14日、ソウル西部地方裁判所民事12単独で、所属事務所のBIGHIT MUSICと共にジョングクとVがA氏を相手に申し立てた損害賠償請求訴訟が行われた。

「BTSのV&ジョングク、デマを流した炎上系YouTuberに勝訴…裁判所が約800万円の賠償命じる」より(現在調定不成立で控訴審再開中

ちなみに当事者に準じる資格ってどういうのかと言うと、警察・検察から「処罰意思の確認」や「捜査状況の報告」の連絡を、直接受けることが可能です。
必要に応じて、告発された人の個人情報(氏名、経歴など)も取得することがあります。

下のリンクに「処罰しないでください」と願い出る場合の申立書がありますが、それにも被告人の氏名を書く欄がありますね。

まずは知識を得て、少し広い世界を見よう

K-POP界隈にいる私たちは、推しを通して韓国という国と身近に接していますが、知れば知るほど、「こんなことにも違いがあるのか」と驚くことが多いです。

互いへの理解は、まず知るところから。
「ファンが悪質な書き込みを訴えたらしい!」という話だけ聞いて、「私たちもそうやって推しを守りたい!」と思う人もいるかもしれませんが、住んでいる国が違えば法律が違うケースがある、ということを覚えておいてほしいと思います。
まあそんな知識、必要ないのが一番いいんですけどね。

あ、国の違いの話をしましたが、推し活って基本SNSなので、日韓の違いどころじゃなく軽く国境を越えますよね。
特にEUは個人情報の保護にうるさ……いや厳格なので、うっかりネットで署名活動とかしないように気を付けてください。
自分で募集しなくても、記入も気を付けてくださいね。プライバシーポリシーも書いてないフォームから送信するとか、絶対ダメなのよ。お母さん時々見てて心配です。

愛は国境を越えますが、法律を越えてはいけません。
ヨロブン、ご安全に!

うちの長男のお言葉

おまけ:韓国の刑法

第33章 名誉に関する罪
第307条 (名誉毀損) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、2年以下の懲役若しくは禁錮又は500万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1995年12月29日>

② 公然と虚偽の事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、5年以下の懲役、10年以下の資格停止又は1千万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1995年12月29日>

第308条 (死者の名誉毀損) 公然と虚偽の事実を摘示し、死者の名誉を毀損した者は、2年以下の懲役若しくは禁錮又は500万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1995年12月29日>

第309条 (出版物等による名誉毀損) 人を誹謗する目的で、新聞、雑誌又はラジオその他の出版物により第307条第1項の罪を犯した者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は700万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1995年12月29日>

② 第1項の方法により、第307条第2項の罪を犯した者は、7年以下の懲役、10年以下の資格停止又は1千500万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1995年12月29日>

第310条 (違法性の阻却) 第307条第1項の行為が、真実の事実であり、専ら公共の利益に関するときは、罰しない。

第311条 (侮辱) 公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は200万ウォン以下の罰金に処する。<改正 1995年12月29日>

第312条 (告訴及び被害者の意思) 第308条及び第311条の罪は、告訴があるときに限り、公訴を提起することができる。<改正 1995年12月29日>

② 第307条及び第309条の罪は、被害者の明示の意思に反して公訴を提起することができない。<改正 1995年12月29日>

ウィキソース「刑法 (大韓民国)」から抜粋


いいなと思ったら応援しよう!

音色 もしこの記事が気に入ったり、役に立ったりしたら、コーヒー1杯奢ってください。やる気が出ます!( *´艸`)